インドの首都ニューデリーから145キロほど南にあるマトゥラーは、1世紀から3世紀の間にクシャン朝の支配を受けました。マトゥラーは、古代インドの交通の要衝であったため、クシャン朝の冬の都として繁栄しました。今回の講座では、マトゥラーで出土した、クシャン朝第2代国王であるウィマ・タクトーの倚座像を中心に取り上げます。この非常にユニークな像を西アジアや中央アジアの国王像などと比較し、この像にみられる様々な美術的要素と、そこに至る文化交流の足跡について解説します。
田辺 理:京都大学白眉センター 文学研究科特定准教授 1979 年生。2015 年早稲田大学文学研究科博士後期課程美術史学コース修了、文学博士学位取得。日本学術振興会 PD 特別研究員、ミュンヘン大学インド学・チベット学研究所客員研究員を経て、現在京都大学白眉センター・文学研究科特定准教授。専門は、ガンダーラ仏教美術史、比較美術史。
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