光が曲がり、時間の流れさえも変化する—そんな重力の不思議を記述する一般相対性理論を、全6回でじっくり学びます。アインシュタイン方程式の導出からブラックホール時空まで、体系的に解説していきます。幾何学と物理学の協奏によって宇宙の構造を解き明かしていく醍醐味を、ぜひ体験してください。朝日カルチャーセンターで一般相対論の真髄にどこまで迫れるか、数式を使って一緒に挑戦してみませんか。(講師・記) <カリキュラム(予定)> ### 第1回 導入:アインシュタイン方程式への動機付け ◆「なぜブラックホールの数理を学ぶのか?」を明確にする。 ◆重力波やX線天文学などの観測的トピックから一般相対論(GR)が不可欠であることを示す。 ### 第2回 一般相対論ミニマム(1):ベクトル・テンソルの基礎とリーマン幾何学 ◆GRを最短ルートで理解するために必要な数学的素養を、できるだけコンパクトに導入する。 ◆とくに「ベクトル/テンソル/計量(メトリック)/曲率」を押さえる。 ### 第3回 一般相対論ミニマム(2):アインシュタイン方程式 ◆前回導入した幾何学的道具を用いて、アインシュタイン方程式をできるだけ簡潔に導く。 ◆物質分布を表すエネルギー運動量テンソルと曲率(重力)を結びつける枠組みを理解する。 ### 第4回 シュバルツシルト時空:ブラックホール解の基礎 ◆アインシュタイン方程式の簡単かつ重要な厳密解「シュバルツシルト解」を導出し、ブラックホールの原型を理解する。 ◆静的球対称な質点(または星)の外部解が、シュバルツシルト解になることを計算or概要説明。 ### 第5回 シュバルツシルト解における測地線方程式:光や物質の運動 ◆シュバルツシルト時空での測地線方程式を解く/あるいは解の性質を調べることで、ブラックホール近傍での光や粒子の運動を理解する。 ◆粒子の軌道、光の曲がり、ブラックホールに落ち込む物質の挙動などの物理的解釈を押さえる。 ### 第6回 発展的話題・総括:カー時空への触り、重力波、現代観測とのつながり ◆回転するブラックホール解であるカー解にごく簡単に触れ、天文学的にも重要な概念(エルゴ領域など)を紹介。 ◆一般相対論の他の応用(重力波、宇宙論)や最新観測との関係性を示し、全体を総括する。
諏訪 雄大:東京大学大学院総合文化研究科准教授 1983 年生まれ。東京大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員、京都大学基礎物理学研究所特定研究員および特定准教授、京都産業大学准教授を経て東京大学総合文化研究科准教授。おもな研究分野は高エネルギー天体物理学。とくに、超新星爆発・ガンマ線バーストなどの爆発的天体現象や中性子星・ブラックホールなどの高密度天体およびマルチメッセンジャー天文学。
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