近年、アメリカやイギリスでも、教会に通うキリスト教信者の数がかなり減少しているといわれるが、それでもイギリスでは、家庭の少なくとも80%には英訳聖書が一冊は備えられているという。聖書は実際に読まれているかどうかは別にして、いまだに隠れたベストセラーの一つである。 キリスト教がブリテン島に本格的に伝わるのは6世紀後半以降であるが、1000年ごろ福音書の英訳が行われ、それ以降『ウィクリフ派聖書』(14世紀末)、『ジェームズ王聖書』(1611年)など数多くの英訳聖書が現れている。本講座では、異なる時代に翻訳された英訳聖書を比較しながら読み、英語の歴史的発達の跡を辿っていくが、同時に英語を歴史的に遡ることで現代英語に見られるさまざまな不思議・不規則も解き明かしていきたい。(講師・記)
寺澤 盾:(てらさわ・じゅん)東京都生まれ。成蹊高等学校卒、1982年東京大学文学部英語英米文学科卒業。1984年同大学院人文科学研究科英語英文学専門課程修士課程修了。1985年からブラウン大学言語学科大学院博士課程に留学、1989年、同大学PhD。一橋大学法学部専任講師、東京大学教養学部助教授をへて、2010年、同大学院総合文化研究科教授に着任。2021年より青山学院大学文学部教授。主著として『英語の歴史:過去から未来への物語』(中公新書 2008)、『聖書でたどる英語の歴史』(大修館書店 2013)、『英単語の世界:多義語と意味変化から見る』(中公新書 2016)など。
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