心の発達という大きなテーマについて、「親目線」から考えてみたい。「親目線」には思いやり、高い関心、親しみ、おせっかいなど様々な心情、それは時として甘え、うらやみ、ねたみといったさらに複雑な感情を孕んでいることもある。これらを踏まえて、親目線による心の発達というのは、それが自分自身に対してのものであったとしても、世知辛い社会(現実)のなかをどう生き抜いていったものか、どうか無事によい人生を送ってほしいものだ、という心情によって立つのだろう。そこには、社会適応はもちろんのこととして、QOL(quality of life)といった「良い人生」を可能とするためにはどのような心の機能が重要なのか、という問いにもなるだろう。 本講では、ある臨床例をもとに、「病状を呈すというある種の挫折」をどのように理解するか、そこから立ち直っていくにあたりどういった機能を(再)獲得することが重要なのか、ということについて考えるとともに、演者の臨床における参照元ともいえる精神分析という深層心理の体系について紹介する。(講師・記) ※日本精神分析協会との共催講座です。
奥寺 崇:(おくでら・たかし)早稲田大学政治経済学部中退の後、群馬大学医学部卒業、医師、精神科医、精神分析家。群馬大学医学部付属病院、医学部にて臨床、教育、研究に携わる傍ら、米国メニンガー精神医学校、英国タヴィストック&ポートマンNHSトラスト、英国精神分析研究所にてそれぞれ精神力動的精神医学、精神分析的精神療法、精神分析の研鑽を積み、帰国後赤城高原ホスピタル、国立精神神経センター武蔵病院勤務を経て現在の開業に至る。 分担執筆に『精神分析と文化』『精神分析入門』『精神分析の名著』『診断の技と工夫』『精神療法の技と工夫』等、訳書として『プレゼントモーメント』『クライン派用語辞典』『精神力動的精神医学』等があり、最近は国際学会(IPA Asia Pacific Conference) での発表に力を入れている。
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