社会学・哲学・宗教・歴史・文化など幅広い対象に鋭く切り込む著作を発表する講師。現代社会をいかに論じるべきか、自身の関心のありかを語ります。 〈今回のテーマ〉 しばらく、休んでいた現代社会論を再開いたします。 今回は、トランプ大統領(再)登場の歴史的な意味について考えます。今、ヘーゲル=マルクスが言ったことをあらためて思い起こすときです。およそ世界史的な大事件は、二度起きる、と。トランプが最初に当選したときには、私たちには、偶発的なことだったかもしれない(クリントンが勝ってしかるべきところを、たまたまトランプが運よく勝ってしまった)との思いもありましたが、再び彼が勝利したことで、「トランプ大統領」に象徴される歴史の転換に、深い必然性があることがわかってきました。 しかし、それはどんな必然性なのか? ヨーロッパのことも視野に入れた近代史の中で、それを考えてみます。 そのコンテクストの中で、トランプ支持者の間で特に浸透している、奇妙な陰謀論、Qアノンの陰謀論についても検討いたします。クリントンとか、オバマとかといった、リベラルなエリートたちが、幼児性愛の世界的なネットワークを組織している、彼らは、その組織を動かすために、アメリカ政府や重要な国際機関を影から仕切っている・・という陰謀論。調査によると、アメリカ人の6人に1人くらいの割合で、この陰謀論をおおむね信じています。どうして、悪の中の悪が、よりにもよって幼児性愛なのか? このことと、トランプが象徴するアメリカの、さらにはグローバルな社会変容とどう関係しているのか?(講師・記)
大澤 真幸:社会学者 1958年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。著書に『虚構の時代の果て』(ちくま新書)、『恋愛の不可能性について』(春秋社)、『電子メディア論―身体のメディア的変容』(新曜社)、『戦後の思想空間』(ちくま新書)、『<不気味なもの>の政治学』(新書館)、『ナショナリズム論の名著50』(平凡社)、『文明の内なる衝撃』(NHKブックス)、『自由を考える』(共著・NHKブックス)、『ナショナリズムの由来』(講談社)、『逆説の民主主義』(角川書店)、『不可能性の時代』(岩波書店)、『<自由>の条件』(講談社)など多数。 公式サイト http://osawa-masachi.com/
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