福島県須賀川市の和田大仏にはじめて出会ったのは数年前のことだった。それは十メートルほどの石灰岩の崖に掘られた大きな石仏で、その周辺には1m程の開口部を持つ横穴墓(6〜7世紀頃流行した墳墓)がいくつも見られた。横穴墓の流行は仏教の伝来により古墳の小規模化という葬送文化に変化をもたらした。また和田大仏と横穴墓の上方には簡易的な屋根を配したあとが見られ、その形状は中国・龍門石窟などに見られるものだった。「歴史を語る仏たち」の第1回は、この不思議な福島・和田大仏と横穴墓の話からはじめたい。(講師・記)
青木 淳:1965年、東京生まれ。総合研究大学院大学(国際日本研究専攻)博士課程修了・博士(学術)。多摩美術大学教授。専門は日本美術史・宗教文化史。鎌倉時代の仏師快慶の研究者として知られる。NHKスペシャル「運慶と快慶 新発見!幻の傑作」に出演。著書に『福島の磨崖仏―鎮魂の旅へ』(淡交社 2017)・『四国の仏像―いにしえの祈りのかたち』(淡交社 2015)など。
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