ヘボンはローマ字で知られた人物です。しかし、それ以外についてはあまり知られていません。 宣教師で医師でもあるヘボンは、1859(安政6)年にアメリカから来日し、1892(明治25)年に帰国するまで33年間、横浜に住み続けました。施療といって無料で診療し、多くの日本人を救いました。また、聖書翻訳のため日本語の勉強をするなかで、日本人が英語を、外国人が日本語を学ぶために便利な辞書を思いつき、『和英語林集成』という英和、和英辞典を編さんしました。この辞書は何度も版を重ね大正時代まで使われました。妻クララは「ミセス・ヘボンの学校」を営み、後に総理大臣になる高橋是清らもクララから英語を学びました。 ヘボン夫妻の生涯と、幕末から明治へと激動する時代に横浜で暮らした33年間の活動をたどります。今回は、「ヘボンのルーツ」と「西洋医学の父」についてお話しします。 第1回)「ヘボンのルーツ」 スコットランドから北アイルランド、そして米大陸へ入植するヘボン家のルーツを見ていきます。 第2回)「西洋医学の父」 ペンシルベニア医科大学卒業後、中国で伝道するが夫人の病気で撤退、ニューヨークで13年間医業に就き、名声を博しました。その後来日して施療を行い、医者を育て、何万人も診療して日本人を救いました。
岡部 一興:おかべ・かずおき 弘前学院大学客員教授、横浜プロテスタント史研究会代表。1941年、東京都生まれ。明治学院大学大学院経済学研究科修士課程修了。相洋高校教諭・教頭をへて、明治大学、明治学院大学、青山学院大学、麻布大学などの非常勤講師を歴任。著書に『ヘボン伝』(有隣新書)、『生命倫理学のすすめ』(22世紀アート)、『長谷川誠三―津軽の先駆者の信仰と事績』『山本秀煌とその時代―伝道者から教会史家へ』(教文館)、『現代社会と教育』(学文社)などがある。
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