大きな森から大草原、そして小さな町でローラ・インガルスの家族は開拓者生活を送りました。本、あるいはテレビドラマでご存じの方も多いでしょう。しかし、開拓者は自給自足の生活だったわけではありません。歴史的に見るとアメリカは市場経済が発展し、鉄道が全米を結んでいった時代です。鉄道が、町が、市場経済が支えていたからこそ広大な西部開拓ができたのです。本講座ではローラの物語を通じてアメリカの歴史を具体的な姿で理解することを目指します。なお、題材は原作本を基に構成します。(講師:記) 第1回 森と草原の小さな家:文明化以前の開拓 最初の時代の話です。かなり自給自足で狩猟採集生活も暮らしの大きな要素であったことに注目します。節目には近辺に入植した家族の支え合いが頼りでした。熊などの野生動物の脅威や恵み、他方時に町に行って必需品と毛皮などを交換する市場経済の面も触れます。 第2回 小さな町と申請開拓地:自営農地法と鉄道 後半の時期です。ホームステッド法によって公有地を申請して開拓に挑戦しますが、近くの街で生活資源を稼ぎながらが一般的であったことに注目します。荒野に入植、そこにずっと滞在して家族で協力して、という常識とは違う生活を確認します。鉄道が発達して職と収入を広げ、生活物資を運ぶのに重要な役割を果す時代を迎えました。 第3回 事故と疫病と近隣の助け合い:開拓で馬や牛を使い、馬車で移動 雪が降ると道がわからず遭難の危機もあります。実際に父親は雪の割れ目に落ち込んで3,4日倒れこんでいました。感染症にはたびたび罹患し、家族全員が倒れてしまい、そのようなときは(遠くからでも)近隣の元気な人が助けに来て看病しながら回っていました。黒人の医師の助けもありました。医師にかかると経済負担も大変でした。 第4回 厳しい自然と大きなリスク:天災と見込外れ ローラたちも大寒波、竜巻、雹、そしてイナゴの襲来で大きな打撃を受けています。畑を耕してやっと収穫が可能となり、あれこれと支払いを返し、購入もできると期待しているとき何度も災害にあって、苦労して乗り越えようとしています。開拓には資金が必要でやりくりしながらかろうじて生活をしますが、成果が見えた時に災害でやられるのはよくあったようです。 第5回 教育と学校:小さな大人と子どもの発見 19世紀後半でも開拓地では全学年一緒で読み書き、綴、文法構造の理解、分数の計算の授業を中心にやっていましたが、子どもも農業の労働力として不可欠で学校は1年に数ヶ月でした。他方、「子どもの発見」の時代でもあり、ローラたちは「サンタから」のクリスマス・プレゼントが楽しみで親もなんとしても用意していました。 第6回 ジェンダーの差異を拡げる西部の暮らし 人里遠い開拓地は助けも少なく女性にとって辛く、開拓地で無理をするくらいなら東部にいたいと痛切に思っていました。ローラ家でも母親は少なくとも学校のある町に住みたいと主張し父親は土地を求めて機会があればすぐにもっと西部へと移動したがっています。また、西部の旅をするとき民家があればそこで一宿一飯を求め住民は当然それを提供します。その都度女性が数人分の食事や夜具の世話を余分に提供し、その作業は重い負担でした。 ※こちらは第1回〜第6回セットでのお申込みページです。 ※第1回のみのお申込みは[こちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7929120&p=adc88fc27918d422fdab240ef37ccf64be92a4bda152c337f16988f667eb7366)
金井 光太朗:1953年生まれ。東京外国語大学名誉教授。専攻はアメリカ政治史。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程中退、米国ブラウン大学留学。著作『アメリカにおける公共性・革命・国家』(木鐸社)、『アメリカのアイデンティティとナショナリズム』(共著、彩流社)『近代アメリカの公共圏と市民』(共著、東京大学出版会)など。訳書ゴードン・ウッド『ベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になる』(共訳、慶應義塾大学出版会)、コリン・ウッダード『11の国のアメリカ史』(共訳、岩波書店)。
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