昨年の《第1巻》全曲解説に続き、バッハ《平均律クラヴィーア曲集第2巻》の全曲解説を行います。聞いたり弾いたりする機会の多い《第1巻》と違い、《第2巻》の、より多彩で複雑な<前奏曲とフーガ>全体を把握する絶好の機会であり、逆に《第2巻》から、聴きなれているはずの《第1巻》の本質と新しい観点を得ることが出来る機会にもなるはずです。昨年同様に、バロック様式や対位法の基本的知識、さらにバッハの音楽の今日的な理解、指導、演奏の可能性を平易に説明します。1月刊行の小鍛冶邦隆著『バッハ「平均律」解読(2)』(アルテスパブリッシング)に全曲分析楽譜が掲載されています。(講師・記) <スケジュール> ※番号はシリーズ通し番号です。途中受講可。 第7回 前奏曲とフーガ変ホ長調:当世風のギャラント様式の前奏曲と、伝統的な(教会)声楽様式のフーガの組み合わせの妙。 第8回 前奏曲とフーガ嬰ニ短調: 調号の多さ(複雑さ)による独自の音響的特徴を生かした、バッハ独自の複雑な後期様式が見られる。 第9回 前奏曲とフーガホ長調:トリオ風の前奏曲と、変ホ長調フーガとも共通した声楽様式の慣用的な組み合わせで、個性的な前曲とは極端な対比が作られている。 第10回 前奏曲とフーガホ短調:引き続き当世風の(ソナタ楽章を思わす)前奏曲と、理論的と言うより演奏会用フーガともいえる新しい傾向がみられる。 第11回 前奏曲とフーガへ長調:フランスオルガン音楽を思わす前奏曲と、前曲同様の演奏会用フーガ。 第12回 前奏曲とフーガヘ短調:ロマン派小品のような前奏曲と、ホ短調、ヘ長調と引き続き、ここでも機智に満ちて華やかな演奏会用フーガのスタイルが確立される。 使用テキスト(推奨楽譜):[『バッハ「平均律」解読(2)』(アルテスパブリッシング)](https://artespublishing.com/shop/books/86559-304-4/) ※新宿教室教材コーナーにて特別価格で販売中です。
小鍛冶 邦隆:東京藝術大学作曲科在学中より指揮者・山田一雄のアシスタントをつとめ、同大学院をへて、パリ国立高等音楽院作曲科でO.メシアン、ピアノ伴奏科でH.ピュイグ=ロジェほかに、またウィーン国立音楽大学指揮科でO.スウィトナーに学ぶ。自作を含むプログラムで東京都交響楽団を指揮。以後、新日フィル、日フィル、東響、東フィル等を指揮。2003年度東京現代音楽アンサンブルCOmeT公演「室内オーケストラの領域III」にたいして、第3回佐治敬三賞受賞。クセナキス作曲コンクール(パリ)第1位、入野賞、文化庁舞台芸術創作奨励賞、国際現代音楽協会(ISCM)「世界音楽の日々」ほかに入選。著書に『作曲の思想──音楽・知のメモリア』(アルテスパブリッシング)、『作曲の技法──バッハからウェーベルンまで』(音楽之友社)、『バッハ様式によるコラール技法』(共著、音楽之友社)、『楽典──音楽の基礎から和声へ』(共著、アルテスパブリッシング)、訳書に『ケルビーニ 対位法とフーガ講座』(アルテスパブリッシング)、監修書にベルリオーズ/R.シュトラウス『管弦楽法』(音楽之友社)、ジャン・ボワヴァン『オリヴィエ・メシアンの教室』(アルテスパブリッシング)、CDに『ドゥブル−レゾナンス』、『マドリガル或いは愛の寓意I-VI』(以上、ALM RECORDS)ほかがある。東京藝術大学音楽学部作曲科教授、慶應義塾大学大学院文学部、東京大学教養学部非常勤講師等を務める。現在 東京藝術大学名誉教授。
使用テキスト(推奨楽譜):『バッハ「平均律」解読(2)』(アルテスパブリッシング)
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