2024年11月末、シリア北西部のイドリブ県で政府軍に包囲されていた反体制武装組織「シャーム解放機構」は、突如攻勢を開始、地方都市を破竹の勢いで支配下に置きました。12月8日、「シャーム解放機構」を中心とする反体制勢力は、首都ダマスカスに到達し、バッシャール・アルアサド大統領はロシアに出国しました。シリアの新政権造りは、着々と進んでいるように見えますが、宗派・民族が複雑なシリアの社会を統合できるか、予断を許しません。シリアの体制変換に至った背景と、今後の見通しについて分析します。(講師・記) 写真 「イスラエル軍が2024年12月に頂上を占領したヘルモン山」 (2011年2月19日・講師撮影)
若林 啓史:(わかばやし・ひろふみ)京都大学博士(地域研究)/早稲田大学社会科学総合学術院・非常勤講師。1963年北九州市生まれ。1986年東京大学法学部卒業・外務省入省。アラビア語を研修し、外務本省の他、イラク、ヨルダン、イラン、シリア、オマーンなどの日本大使館で勤務。2016年より東北大学教授(法学研究科・公共政策大学院)、2019年より2021年まで同大学客員教授。2020年、京都大学より博士号(地域研究)授与。2023年4月より早稲田大学および亜細亜大学の非常勤講師。著書に、『中東近現代史』(知泉書館 2021年)、『シリアの悲嘆 キリスト教徒虐殺事件・一八六〇年』(知泉書館 2019年)、『聖像画論争とイスラーム』(知泉書館 2003年 第一回パピルス賞)、項目執筆に、『岩波イスラーム辞典』(岩波書店)、『イスラーム世界研究マニュアル』(名古屋大学出版会)、『世界民族問題事典』(平凡社)など。
Vimeoを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(2週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。