三十年戦争は日本でもよく知られた出来事といえます。1618年にプラハで始まった局地的な争乱は、まもなくヨーロッパを巻き込む大戦争へと発展し、1648年のウェストファリア講和条約でようやく終結しました。本講義では、この戦争を長期的・広域的な歴史的文脈のなかで論じます。近世のヨーロッパでは、私たちに馴染み深いドイツやフランスといった「国」の枠組みはまだ発展途上で、全ヨーロッパを支配する普遍君主の理念や、領邦と呼ばれる地方政体(さしあたり日本の大名領国をイメージしてください)が活き活きと命脈を保っていました。本講義は、三十年戦争という歴史上の「大事件」に注目することで、そうした近世ヨーロッパの特徴を浮き彫りにしたいと思います。戦争の経緯を時系列で語るというよりは、その根底にある構造的問題に迫ることがねらいです。(講師・記) 【今期 大戦争の基層】 第1回(1月)近世ヨーロッパの人・共同体・国 第2回(2月)スペイン複合君主政と低地地方の反乱 第3回(3月)ハプスブルク家のドナウ君主国 全9回を予定。4月〜6月はお休み。各月のテーマは変更になる場合もございます。(2025/02/01記) 今後の予定 【7月期 神聖ローマ帝国の内乱 】 第4回(7月)麻痺する帝国 第5回(8月)皇帝の覇権 第6回(9月)大戦の序曲−イタリア戦争の再燃 【10月期 近世ヨーロッパ大戦 】 第7回(10月)スウェーデン王の進撃 第8回(11月)フランス参戦 第9回(12月)危機と講和
斉藤恵太:さいとう・けいた 京都教育大学准教授。東京大学人文社会系研究科の博士課程を単位取得退学後、ポツダム大学で博士号を取得。博士論文は Das Kriegskommissariat der bayerisch-ligistischen Armee während des Dreißigjährigen Krieges(三十年戦争期バイエルン・リー ガ軍の軍務官制度)としてドイツで出版(V&R Unipress)。専門は17世紀ヨーロッパ、とくにドイツの国制と軍隊。
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