東日本を代表する円環型巡礼地、「坂東三十三所」。長途1300kmにおよぶ祈りの道は、中世の昔から現代まで、観音菩薩との結縁を望む大勢の巡礼者を迎え入れてきました。その成立を促した原動力は、鎌倉幕府を打ち立てた東国の武士たちの観音信仰であったことが指摘されています。東国政権の担い手となった武士たちはどのように観音信仰を受容したのか、またその信仰はどのようにして、時代を超えて民衆に浸透していったのか……。札所寺院やその周辺に伝世する仏像・古文書・古記録など多彩な文化財を手がかりに、東国の観音信仰の歴史を探ります。(講師・記) 1/10 札所縁起にみる坂東巡礼の始源説話:観音信仰東漸 2/14 「鎌倉殿」の観音信仰:『吾妻鏡』とその周辺から 3/14 中世文芸と東国の観音霊場:『曾我物語』『とはずがたり』の世界
宗藤 健:むねとう・けん 駒澤大学非常勤講師。横浜市生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了(日本・東洋美術史専攻)。観音ミュージアム主任学芸員を経て、現在駒澤大学ほか非常勤講師。主要論文に「長谷観音信仰地方伝播の一様相」(『説話・伝承学』32)、「中世関東地方北東部における観音霊験像の成立と展開」(『鹿島美術財団年報』42)、共著に『修道制と中世書物』(八坂書房)など。
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