太宰治の文学について、その特色と魅力についてわかりやすく講述します。今回は特に、他の著名な近代作家と太宰治との興味深いやりとりや関係性を紹介することに力を入れるつもりです。それを通して、近代文学を歴史的に振り返ってみることの面白さ、研究としてこれに取り組むことの面白さのようなものをお伝えできれば、と考えています。授業は予め配布しておくプリントを中心に行いますが、予告した作品に目を通してご参加いただけると、より理解が進むことと思います。主要作の解説や、貴重な資料の紹介、研究余談なども適宜折り込んでいく予定です。(講師・記)。 【各回のテーマ】 第1回 太宰治文学の背景 第2回 太宰治の生い立ち 第3回 太宰治と芥川龍之介
安藤 宏:東京大学名誉教授 博士(文学) 1958年生まれ。2024年まで27年間にわたり、東京大学大学院人文社会系研究科/文学部で教鞭を執った。専攻は日本の近・現代文学で、中心テーマは近代の一人称小説の特色および小説の文体、表現史に関する研究。この方面の研究書に『近代小説の表現機構』(岩波書店、2012年、やまなし文学賞、角川源義賞)があり、その内容をわかりやすく解説した一般書に『「私」をつくる 近代小説の試み』(岩波新書、2015年)がある。『日本近代小説史』(新装版、中公選書、2020年)は、近代小説の歴史を平明に解説した文学史の入門書。なお、個別の作家では太宰治の研究に力を注いでおり、40年に及ぶ研究の集大成に『太宰治論』(東京大学出版会、2021年)がある。この書を対象に、2024年、日本学士院賞を受賞。
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