アンシアン・レジームのフランスには出版・言論の自由はありませんでした。どのような書物や雑誌も出版するためには政府による検閲を通過する必要があったのです。もちろん国外から持ち込む、政府に申請することなく勝手に印刷・出版するといった「裏ワザ」もあって、非合法出版物も多く流通していたのですが、言論と出版をめぐる状況は現在とはまるで異なるものでした。1月、2月は出版統制の実態、書物への弾圧、それをかいくぐろうとする著者たちの努力を、3月はそうした状況下でも「言論」の力を用いて冤罪事件を告発したヴォルテールの活躍を見ていきたいと思います。 1月 思想統制の一例:『精神論』事件 2月 『百科全書』をめぐって 3月 ヴォルテールとカラス事件
森村 敏己:一橋大学特任教授 1960年生まれ。一橋大学社会学研究科博士課程単位取得退学。一橋大学社会学研究科教授を経て現職。 専門は18世紀フランスの思想と歴史。著書に『名誉と快楽―エルヴェシウスの功利主義―』(法政大学出版局)、『なぜ啓蒙を問い続けるのか』(清水書院)、訳書にジョナサン・イスラエル著『精神の革命―急進的啓蒙と近代民主主義の知的起源―』(みすず書房)など。
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