密教美術を語る上で、また日本美術の絵画分野を楽しむ上で、曼荼羅は存在感あるひとつのジャンルを形成しています。2025年には、東京国立博物館で開創1150年記念特別展「旧嵯峨御所大覚寺」展(1/21-3/16)や、京都国立博物館の大阪・関西万博開催記念特別展「日本、美のるつぼ」展(4/19-6/15)、奈良国立博物館の開館130年記念特別展「超国宝」展(4/19-6/15)など大規模な展覧会が開催され、曼荼羅や密教の仏たちを間近にご覧になる機会がたびたびあります。曼荼羅は色鮮やかな絵画であるだけでなく、その前で目を凝らすと、画面を埋めつくす小さな仏たちが特徴的な持ち物を手に、意味深な仕草をとることに気が付かれるでしょう。謎めく仏たちの姿かたちには、実は意味があります。今回は、胎蔵曼荼羅を中心に解説します。両界曼荼羅を鑑賞する楽しみがより一層深まるよう、その魅力をお伝えします。
那須 真裕美:種智院大学非常勤講師 1974年生。龍谷大学文学部仏教科卒。大学院終了。博士(文学)。専攻はインド仏教。日本や中国などの東アジアからインドに到る仏教文化圏における現地調査も行う。
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