18世紀後半〜19世紀前半にイギリスで起こった産業革命。手工業から工場の機械工業へ、人の力から蒸気機関と石炭の利用による動力へ、という技術革新とエネルギー変革。それは同時に、資本家が賃金を支払い労働者に労働させる「資本と賃労働」という資本主義社会を生み出した。 産業革命で一人当たり所得が飛躍的に上昇し、いわゆる「大分岐」が起きた。産業革命の意義は内燃機関の発明により大西洋を挟むヨーロッパとアメリカ大陸をつなげたことにある。その結果、交易が活発化し経済成長率が高くなり中間層を大量に生み出した。経済成長の鍵は機械化であり、化石燃料を大量に使うことだった。21世紀の問題はエネルギー獲得のための投入・産出比率が低下し、資本(K)と労働(L)を利用してGDPを産出する条件が悪化し「成長がすべての怪我を治す」ことができなくなっていることである。本講座では、イギリスで起こったイノベーションがどのような展開をへて世界へ、そして現代につながるのかを探り、現代の資本主義経済社会に迫る。(講師・記)
水野 和夫:みずの・かずお 元法政大学教授 1953年愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、同大学大学院経済学研究科修士課程修了。八千代証券(国際証券、三菱証券を経て現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社。金融市場調査部長、チーフエコノミスト、執行役員などを経て'10年退社。内閣府大臣官房審議官(経済財政分析担当)、内閣官房内閣審議官(国家戦略室)などを歴任。日本大学国際関係学部教授、法政大学法学部教授を経て、元法政大学教授。現在は、芸術文化観光専門職大学客員教授としても活躍。著書に『100年デフレ』『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』(日本経済新聞社、 のち日経ビジネス人文庫)、『終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか』(日本経済新聞出版社)、『資本主義という謎』(共著、NHK出版新書)、『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)、『次なる100年―歴史の危機から学ぶこと』(東洋経済新報社)など多数。
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