日本では春夏秋冬の四季の移ろいの中に豊かな文化が育まれてきました。花の四季といえば、春は梅と桜、夏は紫陽花や朝顔、秋は菊や秋桜、冬は椿や山茶花などでしょう。それぞれに味わい深い世界がありますが、とくに日本人が好きなのは桜の花のようです。毎年3月から4月の花見の季節には全国各地の桜の名所がおおぜいの花見客でにぎわいます。しかし、奈良時代の『万葉集』では梅が110首と多く、桜は43首だけでした。それが平安時代の『古今和歌集』では花といえばいうまでもなく桜のことになっていました。桜の花の歴史と民俗とを調べてみると、日本人がなぜ桜が好きなのか、という疑問も解けてきます。今回は日本人と桜花というテーマで解説してみましょう。(講師・記)
新谷 尚紀:しんたに・たかのり 国立歴史民俗博物館名誉教授・国立総合研究大学院大学名誉教授 1948年広島生まれ。早稲田大学大学院文学研究科史学(日本史)専攻博士課程修了。博士(社会学)。専門は日本民俗学。国立歴史民俗博物館教授・國學院大学教授を経て、現在、国立歴史民俗博物館名誉教授・国立総合研究大学院大学名誉教授。著書に『神々の原像−祭祀の小宇宙−』『お葬式−死と慰霊の日本史−』『柳田民俗学の継承と発展−その視点と方法−』吉川弘文館 、『伊勢神宮と出雲大社−「日本」と「天皇」の誕生−』『伊勢神宮と三種の神器−古代日本の祭祀と天皇』『氏神さまと鎮守さま』(講談社選書メチエ)、『神社の起源と歴史』吉川弘文館ほか多数。
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