モネは、1910年代から白内障にかかり、1920年には右目を手術した。その目にうつる「日本橋」と「睡蓮」は、これまでの「日本橋」や「睡蓮」ではなかった。一見すると何を描いたかわからない絵画に、対象物はもはやなく、自分の目そのものを描いたともいえよう。モネは、1870年に、普仏戦争を逃れて、ピサロとともに、ロンドンへ渡った。そのときに、目にしたのがターナーの絵だと言われている。実際、第1回印象派展に出品した「印象・日の出」は、ターナーの影響を受けているともいわれる。ほぼ100年近く前に描かれたターナーの「国会議事堂の火災」は、ターナー自身の代表作の一つでもある。モネの絵画にターナーの影響をどの程度見ることができるのだろうか。
武末 祐子:西南学院大学外国語学部教授 西南学院大学文学部外国語学科フランス語専攻教授。西南学院大学卒業。1986年〜1987年、フランス政府給費留学生。1987年、グルノーブル第3大学フランス文学研究科DRS(博士)。1995年、パリ・ソルボンヌ第4大学DEA取得。専門は、フランス19世紀文学。研究テーマはグロテスク美学。著書は『グロテスク・美のイメージ―ドムス・アウレアからフロベールまで』(春風社)など。フランス語教育にも関心があり、論文執筆・発表を行っている。
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