宮殿とは、王侯貴族や国家元首、もしくは高位高官らの住まいのこと。ゆえに、まずは居住者のステイタス・シンボルとしての外観の豪華絢爛、そして現実生活を営むうえでの優れた居住性とが共に求められます。この点において、本質的に戦うための要塞である「城」と、より豊かに暮らすための「宮殿」とは似て非なるもの。事実、大きな内乱や内戦が起こる見込みのなくなった17世紀後半以降のイギリスでは、見た目や住み心地を度外視してまで防衛機能を重視した城塞はその存在意義を失い、居住性に優れた宮殿に取って代わられていきます。そうして誕生した近代以降の宮殿が、総じて時代の趣味を反映した建築美を誇ることはいうまでもありません。また、それ以前の中世から存在する古い宮殿にいたっては、たとえ現在は見る影もなく朽ち果て、別の用途で使用されているとしても、やはりそこでしか味わうことのできない「歴史の重み」を背負っているといっていいでしょう。城とはまた違う興趣を誘い、イギリスを知るためにも欠かすことのできない数々の歴史的な宮殿について、旅するように学んでいきます。(講師・記) 写真:ハンプトンコートパレス ©藤森靖允 【カリキュラム】 ひとつの宮殿を2回にわたり解説します。 ※状況により変更することもございます。 2025年1月〜6月 1. バッキンガム宮殿 2. ハンプトン・コート宮殿 3. エルタム宮殿 2025年7月〜12月 4. フォークランド宮殿 5. ホーリールード・ハウス宮殿 6. ダンファームリン宮殿 2026年1月〜6月 7. 旧ホワイト・ホール宮殿バンケティング・ハウス 8. ウェストミンスター宮殿 9. ブレナム宮殿 2026年7月〜12月 10. キュー宮殿 11. ロイヤル・パビリオン 12. オズボーン・ハウス ※お申込みは6ヶ月単位です。途中からのご受講もいただけます。 ※20241114改
齊藤 貴子:早稲田大学講師 横浜市生まれ。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業、同大学大学院教育学研究科博士課程修了。早稲田大学および同大学エクステンションセンター講師。上智大学大学院文学研究科講師。専門は近代イギリス文学・文化で、主として詩と美術の相関を研究。著書に『もう一度、人生がはじまる恋〜愛と官能のイギリス文学〜』(PHP新書)、『ラファエル前派の世界』(東京書籍)、『21世紀 イギリス文化を知る事典』(出口保夫、小林章夫と共編著、東京書籍)、『諷刺画で読む十八世紀イギリス〜ホガースとその時代〜』(小林章夫と共著、朝日選書)、『楽しいロンドンの美術館めぐり』(出口保夫と共著、講談社)。編訳書に『英国ロマン派女性詩選』(国文社)、『音読・暗唱 愛と夢の英詩集』(出口保夫と共訳、講談社プラスアルファ文庫)、『肖像画で読み解くイギリス史』(PHP新書)、『イギリス恋愛詞華集』(研究社)
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