江戸時代後期、曲亭馬琴が二十八年の歳月をかけて著した長編小説『南総里見八犬伝』は、当時から後年にいたるまで大変な人気を博しました。本講座では仁義礼智忠信孝悌の中でも、五常の第一と言われる仁の玉を持つ八犬士、犬江親兵衛について取りあげます。彼が八犬士として誕生する場面の経緯を読み、馬琴が作品に施した工夫をふまえながら、『八犬伝』の世界を読み解きます。
三宅 宏幸:同志社大准教授 主な論文:「(宮本武蔵もの)実録の展開−『兵法修練談』『無道小倉袴』『袖錦岸柳島』系統を中心に―』(『読本研究新集』第10号、2018年)、「寛政期読本『怪談雨之燈』の研究と翻刻」(『愛知県立大学説林』第69号、2021年)『馬琴研究―読本の生成と周縁―』(汲古書院、2022年)、「『俊寛僧都嶋物語』試論―引用・考証・附会―」(『国語と国文学』100ー11、2023年11月)