なんともセンセーショナルなタイトルをつけてしまいましたが、古今東西、しばしば世界各地で王殺しの歴史が見られます。たとえば、フランス革命によるルイ16世の処刑、隋の煬帝の暗殺など。今日では、さすがに王殺しはないものの、指導者としての資質に欠けると判断された場合は、議会による不信任決議やリコ・ルなどもありますよね。では、王としての資質、指導者としての資質とは何でしょうか。 今回の講座では、『古事記』・『日本書紀』に記された古代の天皇のうちで、不幸にも暗殺された3人を取り上げ、倭国王に求められた資質について考えてみます。殺された3人は、決してロ・マ皇帝のカリギュラやネロのように暴君だったわけではありません。『古事記』や『日本書紀』を読んでいくと、殺された3人よりも、もっと暴虐な天皇が出てきます。では、なぜ、3人は殺されなくてはならなかったのか。この講座を通して、指導者としての資質について考えを深めていただき、本当の意味での民主主義とは何か、この点について考える契機となれば望外の喜びです。(講師・記) 【カリキュラム】 第1回 仲哀天皇の最期 「西の方に豊かな国があるぞ」と神に告げられたにも関わらず、その神託を疑い、命を落とした仲哀天皇。神のお告げを聞かなかったと言えば、それまでなのですが、実はこの天皇、倭国を統治していく上で、重大な失敗を犯していました。その失敗とは?手がかりは王権と自然との関係にあります。 第2回 安康天皇の最期 大后の連れ子に寝首をかかれた安康天皇。しかし、この殺人事件は、単なる男女関係のもつれによるものではありませんでした。問題の本質は、5世紀の倭国における皇位継承のあり方にあったのです。 第3回 崇峻天皇の最期 崇峻天皇殺害の首謀者として、蘇我馬子の存在がクロ・ズアップされてきました。しかし、犯人は本当に蘇我馬子だけだったのでしょうか。『日本書紀』を精読していくと、崇峻天皇が殺された時に、あまり混乱は起きていないのです。もしかして、宮廷全体が、グルだったのでしょうか。
森田 喜久男:もりた・きくお 淑徳大学教授 1964年生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(歴史学・駒澤大学)島根県古代文化センター、島根県立古代出雲歴史博物館を経て、淑徳大学人文学部教授。日本古代史・神話学・博物館学専攻。著書『日本古代の王権と山野河海』(吉川弘文館)、『やさしく学べる古事記講座』(ハーベスト出版)、『古代王権と出雲』(同成社)、『能登・加賀立国と地域社会』(同成社)他。
筆記用具
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