戦後、日本の古代史研究は、倭国−日本という一国史から脱却した東アジア史の視点、民衆の多様な在り方を問う民衆史の視点が強調され、その後、女性史・ジェンダー史の視点や「天皇制」研究の新たな視点を提供する王権論、等々からの史資料・史実の見直し・再検討が重ねられて、今日にいたっています。これらの動向に、考古学や近接する諸科学との連携の成果を加えて日本の古代史像は、大きく刷新されてきました。時代の「通史」は、常に検証され、書き改め、書き加え等が必要です。このように考え、日本古代史の再検証の本講座を始める次第です。古代史に興味のある方、学び直したい方の受講を歓迎いたします。 本期(W期)は、欽明朝の内政と外交を外観した上で、欽明朝の特色を仏教の受容をめぐる多様な対応をとりあげ、6世紀後半の日本の古代を検討してみたい。 また、欽明没後の王位継承争いは、蘇我氏の強力化とつながる蘇我系キサキとそのミコ・ヒメミコらの婚姻が密接な関係にあり、大王崇峻の暗殺事件や女帝推古を誕生させる波乱に富む展開となっている。これらの諸点を最新の研究動向を踏まえて講義します。(講師・記) <各回のテーマ> 1.欽明朝の内政と外交 2.蘇我馬子、大臣となる 3.仏教の伝来と伽藍の造立−飛鳥文化を特徴付けるもの 4.真の「欽明陵」か−見瀬丸山古墳の造営の歴史的意味 5.欽明没後の王位継承−敏達・用明朝の成立の意味 6.大王崇峻の即位と暗殺
荒木 敏夫:専修大学名誉教授 1946年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程退学。1987年から専修大学文学部教授、同大学の文学部長、副学長を歴任。専攻は日本古代史。主な著書に、『日本古代の皇太子』(吉川弘文館、1985年)、『可能性としての女帝−女帝と王権−』(青木書店、1999年)、『日本古代王権の研究』(吉川弘文館、2006年)、『日本の女性天皇』(文庫版)(小学館、2006年)、『古代天皇家の婚姻戦略』(吉川弘文館、2013年)、『日本古代の王権』(敬文舎、2013年)。
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