対話ごときで、なぜ回復が起きるのか。フィンランド発の対話実践、オープンダイアローグを臨床応用する中で、私の思考は常にこの問いの周囲を巡り続けていました。その問いに対する暫定的な回答が、拙著『イルカと否定神学』(医学書院)です。本書の執筆に大きなヒントをもたらしたのが、國分功一郎さんの『中動態の世界』でした。本書は言わば、ラカンの言語観とベイトソンの学習理論を、中動態的に接合したとも言える内容になっています。今回はその國分さんと、言語の機能、コンテクストの作用、そして「回復とは何か」について、縦横に語りあいます。 (斎藤講師・記) ■[『イルカと否定神学』(医学書院)](https://www.amazon.co.jp/dp/4260057359)出版記念講座です。当日教室にて書籍を販売予定。
斎藤 環:精神科医 1961年岩手県生まれ。筑波大学医学研究科博士課程修了。医学博士。現在、筑波大学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学、ラカンの精神分析、「ひきこもり」問題の治療・支援ならびに啓蒙活動。 漫画・映画・その他サブカルチャー全般を愛好。著書に『文脈病 ラカン、ベイトソン、マトゥラーナ』(青土社)、『社会的ひきこもり―終わらない思春期』(PHP研究所)、『母は娘の人生を支配する』(NHKブックス)、『「文学」の精神分析』(河出書房新社)、『世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』(角川財団学芸賞受賞・角川書店)、『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)など多数。
國分 功一郎:東京大学教授 1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。主な著書に『スピノザ 読む人の肖像』(岩波新書、第11回河合隼雄学芸賞受賞)、『中動態の世界 意志と責任の考古学』(医学書院、第16回小林秀雄賞受賞)、『民主主義を直感するために』(晶文社)、『近代政治哲学 自然・主権・行政』(ちくま新書)、『暇と退屈の倫理学 増補新版』(太田出版、第2回紀伊國屋じんぶん大賞受)、『来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』(幻冬舎新書)、『ドゥルーズの哲学原理』(岩波書店)など。
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