仏教は、教えや布教にまつわる多くの説話によって彩られています。とりわけ開祖釈尊の生涯は超人化と美化に満ち、それは事実とはかけ離れたものながら、仏教徒が永きにわたって紡ぎ出した敬虔な宗教心の結晶、信仰のなかに生きる伝記です。本講座では様々に伝えられる釈尊の生涯を、仏伝文学を繙きつつ、画像によってインドのゆかりの聖跡や遺物に訪ねます。師を思慕し、賛仰し続けた仏教徒のひたむきな思いに心うたれるとともに、その後半生をひたすら布教と伝導に過ごした人間釈尊の姿が、間近に感じられることでしょう。今期は祇園精舎の寄進や神通示現で知られるシュラーヴァスティー(舎衛城)、忉利天より三道宝階を降下しウダヤナ王の奉迎を受けたサーンカーシャ(僧迦尸)、マガダの王ビンビサーラーとその子アジャータシャトルをはじめとして、布教にまつわる種々の伝承で彩られるラージャグリハ(王舎城)など、涅槃に先立ってなされた釈尊布教の主要な事跡の数々をそれらゆかりの地に訪ねます。 1/15(水)三迦葉の帰仏 ガヤー 1/29(水)祇園精舎の寄進と双神変 シュラーヴァスティー 2/5(水)三道宝階降下の地 サーンカーシャ 2/19(水)グリドラクータ(耆闍崛山、霊鷲山)説法 ラージャグリハ@ 3/5(水) ビンビサーラー王のヴェヌヴァナ(竹林精舎)建立 ラージャグリハA 3/19(水)デーヴァダッタとアジャータシャトル王 ラージャグリハB
安田 治樹:立正大学名誉教授 1949年生まれ。成城大学大学院文学研究科美学美術史専攻博士課程修了。財団法人根津美術館学芸部学芸課長を経て、2008年、立正大学仏教学部教授に転ず。同大学法華経文化研究所所長、文学博士。2014年に立正大学ウズベキスタン学術調査隊を組織、同隊長。
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