仮名の美しさは、平安時代でも中期から後期にかけて少しずつ変化しています。今回の古筆を味わうシリーズは、そうした11世紀から12世紀のごく初めの古筆を取り上げます。第一回は、「亀山切」ですが、最近では比較的古い古筆と考えています。「二十巻本歌合」は、歌合を集大成しようとした平安時代後期の書写時期が限定できるものです、「小島切」は11世紀後半頃の遺品と考えられ、連綿の美しい仮名作家に人気の書風です。さまざまな表情の魅力的な仮名の美しさを鑑賞したいと思います。(講師記) 1/11、亀山切(かめやまぎれ) 2/8、 二十巻本歌合(にじっかんぼんうたあわせ) 3/8、 小島切(こじまぎれ)
名児耶 明:なごや・あきら 古筆・書文化研究者 1949年北海道生まれ。東京教育大学教育学部芸術学科書専攻卒業。専門は書文化・古筆学、日本書道史、博物館学実習。元五島美術館・副館長。筆の里工房副館長。著書・編著に 『別冊太陽 日本の書』(平凡社)、『書の見方 日本の美と心を読む』(角川学芸出版)、『決定版日本書道史』(芸術新聞社)、『日本書道史年表』(二玄社)、『書に心よせる』(新潮社)など多数。