2025年はアジア太平洋戦争の終結から80年を迎える。この戦争をもっとも若い兵士として戦った人でも100歳に近く、敗戦の記憶は日本社会から急速に失われつつある。そのためか、近年は荒唐無稽な「こうすれば勝てた」のような言説が現れるようになった。本講義では、狭義の軍事のみならず広義の政治情勢までをも視野に入れ、3つの代表的な戦例を分析する。リアリズムに基づく戦争研究の重要性を、受講者が理解する一助となれば幸いである。(講師:記) 1 総論 歴史シミュレーションの意義 仮想現実とシミュレーション/後知恵の抑制とシミュレーションのルール 各論1 真珠湾攻撃:1941年12月の対米戦争 真珠湾の再攻撃は可能だったか/再攻撃していたら結果はどうなったか 2 各論2 インパール作戦:1944年春の対英戦争 インパール攻略の成算はあったのか/成功したらその後の展開はどうなったか 3 各論3 大陸打通作戦:1944年春〜秋の対中戦争 なぜ大陸打通作戦(一号作戦)が実施されたのか/作戦目的を達成できたか 補論 1946〜49年の国共内戦 大陸打通作戦は国共内戦に影響を与えたか 画像:真珠湾攻撃 <講師詳細> 等松 春夫:1962年米国パサデナ市生。防衛大学校国際関係学科教授。専門は政治外交史・比較戦争史。筑波大学、早稲田大学を経て1991〜97年に英国留学。オックスフォード大学博士(政治学・国際関係論)。2011年にNATO国防大学で研修、ディプロマ取得。著書『日本帝国と委任統治』(名古屋大学出版会2011)、訳書『なぜ国々は戦争をするのか』(国書刊行会2015)、『大いなる聖戦:第二次世界大戦全史』(国書刊行会、2018)、共著書『日英交流史3〈軍事〉』(東京大学出版会、2001)、『日中戦争の軍事的展開』(慶應義塾大学出版会、2006)、『昭和史講義1・2』(筑摩書房、2015、2016)、Pearl Harbor (Cassell, 2001)、A Gathering Darkness (Scholarly Resources, 2004), Imperialism on Trial (Lexington Books, 2006), Russo Japanese War in Global Perspective (Brill, 2007), History Textbooks and the Wars in Asia (Routledge, 2011), Maritime Strategy and National Security in Japan and Britain (Brill, 2012), Spain 1936: Year Zero (Liverpool University Press, 2018), East Asians in the League of Nations (Palgrave Macmillan, 2023 )他多数。
・筆記用具
・都合により、2/26は休講になりました。補講は2/19に行います(2025/1/16記)。 ・Vimeoを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。