経済界の雄として日本の体制の基盤そのものだった東京電力が、2011年3月に福島第一原発の原子炉で相次いで炉心溶融事故を引き起こし、放射性物質をまき散らしてから14年がたとうとしている。なぜあのように事故が発生し、なぜあのようにそれが拡大したのか。元社長らに13兆円の支払いを命ずる東京地裁判決はどのような理屈で出されたのか。「メード・イン・ジャパンの災害」と呼ばれた未曾有の事故の「失敗の本質」に、事故発生から10年を過ぎて新たに判明した事実関係をよりどころに改めて迫る。(講師:記) (1)事故はなぜ発生し、なぜ拡大したのか 防護扉あけっぱなしで事故発生、コミュニケーション不全で炉心溶融を把握できず事故拡大 (2)組織の上と下が正反対の津波リスクを認知 津波担当の土木技術者は対策工事を進言するも、原子力工学技術者の常務が却下。株主代表訴訟13兆円賠償判決の論理は?その帰趨は? (3)やはり「メード・イン・ジャパンの災害」だったのか 東京電力の企業風土と日本文化が原因だったというのは本当なのか?
奥山 俊宏:おくやま・としひろ 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部原子力工学科卒、同大学新聞研究所修了、朝日新聞社入社。水戸支局、福島支局、社会部、特別報道部などで記者。2009年、アメリカン大学客員研究員。2011年から国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)メンバー。2013年、朝日新聞編集委員。2022年、上智大学教授。著書『秘密解除 ロッキード事件 田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年)で2018年に司馬遼太郎賞、日本記者クラブ賞を受賞。関連の著書に『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、関連の共著に『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『福島原発事故10年検証委員会 民間事故調最終報告書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2021年2月)がある。
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