ロマン主義時代とは、ちょうどフランス革命が勃発していた頃に、思想家たち、作家たち、詩人たちが、人権を勝ち取るために言葉によって権威主義に抵抗していた時代である。フランスの恐怖政治直後、イギリスでは急速に保守化し、言論の自由が奪われていた。そんななか、非暴力の力についてことばを紡いでいたのは、ジェイン・オースティンや、メアリ・シェリーといった女性作家である。本講座では、ロマン主義時代の背景と、オースティンの『高慢と偏見』やシェリーの『フランケンシュタイン』といった作品がいかに女性の視点からケアについて考えさせる物語であるのかをお話しします。イスラエルによるパレスチナ人への攻撃を考えるとき、文学による非暴力の力とは何かを考えさせられます。 (講師・記) 【スケジュール】 (1)女性作家たちとフランス革命ーーロマン主義とは? (2)メアリ・シェリーの非暴力の力ーー『フランケンシュタイン』の意外な側面 (3)ジェイン・オースティンとメアリ・シェリーーー二人に共通するもの
小川 公代:英文学者 1972年、和歌山生まれ。上智大学外国語学部教授。ケンブリッジ大学政治社会学部卒業。グラスゴー大学博士課程修了(Ph. D.)。専門は、ロマン主義文学、および医学史。著書に、『翔ぶ女たち』『ケアの倫理とエンパワメント』『ケアする惑星』(いずれも講談社)、『世界文学をケアで読み解く』(朝日新聞出版)、『ゴシックと身体 ──想像力と解放の英文学』(松柏社)、『文学とアダプテーション──ヨーロッパの文化的変容』『文学とアダプテーション2──ヨーロッパの古典を読む』(ともに共編、春風社)、『感受性とジェンダー──〈共感〉の文化と近現代ヨーロッパ』(共編、水声社)、『ジェイン・ オースティン研究の今』(共著、彩流社)、訳書に、シャーロット・ジョーンズ『エアスイミング』(幻戯書房)、サンダー・L・ギルマン『肥満男子の身体表象』(共訳、 法政大学出版局)などがある。
2024年10月期(11/28〜)に開講予定でしたが、2025年1月期に延期して開催いたします。
Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはtc9acc2@asahiculture.comで承ります。