いわゆる一般的な宗教の世界では、教祖様が人々に「信じよ」と呼びかけるものと相場が決まっています。ところが仏教の場合は、開祖であるブッダ自身が「如来(自分)について、汚れがないか、欠点はないかとよく吟味して確認してください」と弟子たちに推奨するのです。さらにブッダは、師匠について調べるためのチェックポイントまで詳しく列挙するのです。このようなブッダのユニークな姿勢は、どんな意図によるものなのでしょうか。今回の初期仏教入門では、ブッダが「私のこともよく吟味しなさい」と教えたパーリ経典「考察経」(中部47)を3回に分けて精読します。「自ら確かめる」ことを重視する仏教の核心について学んでみましょう。 <今回のテーマ> 2 ブッダに欠点は存在するか
アルボムッレ スマナサーラ:テーラワーダ仏教(上座仏教)長老。1945年4月、スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は(宗)日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事している。朝日カルチャーセンター(東京)講師を務めるほか、NHKテレビ「こころの時代」などにも出演。著書に『自分を変える気づきの瞑想法』(サンガ新社)、『怒らないこと』(大和書房)、『ブッダ―大人になる道』(筑摩書房)、『ブッダに学ぶ ほんとうの禅語』(アルタープレス)、『Freedom from Anger』(米国Wisdom Publications)など多数。
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