ウクライナへの侵略を継続するロシアのプーチン大統領が、「核兵器による恫喝」という暴挙に出たことで、私たちは改めて、現代は核の脅威から逃れられない時代なのだという事実を突き付けられます。原爆の製造と投下決定に深くかかわったオッペンハイマーは、この核の脅威を実感した最初の一人だったとも言えるでしょう。本講座では、彼の生涯を追いながら、当時の緊迫した対外関係に触れつつ、原爆開発の主導者が何故水爆開発に反対したか、彼が何を成し遂げようとしていたのかについて考えてみたいと思います。(講師・記)
中沢 志保:(なかざわ・しほ)文化学園大学教授。津田塾大学大学院国際関係学研究科博士課程修了。同大学国際関係研究所研究員を経て、1998年度より文化学園大学教授。2019年4月より文化学園大学・大学院国際文化研究科長。日本国際政治学会およびアメリカ学会に所属。 国際関係学の視点から、アメリカの政治・外交を研究。具体的には、冷戦初期のアメリカにおける原子科学者の政治的な役割、20世紀前半期のアメリカ外交に多大な影響を与えたヘンリー・スティムソンの生涯と政治理念などを研究している。 著書に『オッペンハイマー』中央公論新社(1995)、『ヘンリー・スティムソンと「アメリカの世紀」』国書刊行会(2014)。 訳書に、ジョナサン・W・ジョーダン著、中沢志保訳『FDRの将軍たち―ローズヴェルトの最高司令部はいかにしてアメリカを勝利に導いたか―』国書刊行会(2022)、ヘンリー・スティムソン、マックジョージ・バンディ著、中沢志保、藤田怜史訳『ヘンリー・スティムソン回顧録』国書刊行会(2017)がある。
参考図書『オッペンハイマ-原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか』中公新書 1995年刊行
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