今から遡ること約16,000年前,日本列島に暮らした狩猟採集民は,世界に先駆けて土器を生み出すことになりました。彼ら/彼女らは,粘土を捏ねて火にかけることで耐久性のある器を作る技を知ったのです。この「土器の誕生」をもって,縄文時代が幕を開けることになります。それでは,なぜ日本列島の狩猟採集民がいち早く土器を使い始めたのでしょうか。これは極東地域の問題を越えて,世界的な関心事に他なりません。今回の講座では,土器誕生の背景にある,@自然環境,A生業基盤,B移動戦略に焦点を合わせて,C狩猟採集民が土器作りの技術を波及させてゆく過程を俯瞰します。過去半世紀のあいだに蓄積されてきた成果を概観すると同時に,最新の知見を紹介してゆきたいと思います。(講師・記) 10月世界最古の土器はいかに生まれたか 11月土器を使って何を煮たのか 12月遊動民はいかに土器作りを実現したか 1月土器の拡散とそのダイナミズム ※各月のテーマは変更になる場合もございます。
藤山 龍造:明治大学文学部教授 1977年,宮城県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(史学)。日本学術振興会・特別研究員(PD),慶應義塾大学文化財調査室を経て,現在,明治大学文学部教授。この間,キール大学(ドイツ)先史学・原史学研究所・客員研究員,ベルリン自由大学(ドイツ)先史考古学研究所・客員研究員を歴任。主な著書に,『環境変化と縄文社会の幕開け』(雄山閣)など。
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