200年前ポルトガルの首都リスボンに生まれた伝統的大衆歌謡「ファド」。2011年にユネスコ無形文化遺産にも選ばれ、近年注目を集めています。 講座ではファドに欠かせない楽器、ギターラ(ポルトガルギター)奏者でありファド研究家である講師が「ファドのことがだいたいわかる」をコンセプトとしてレクチャー&ミニコンサートを行います。 今回のテーマはカーネーション革命50周年をふまえ「カーネーション革命とファド 」としました。1974年4月25日に発生した通称カーネーション革命によりポルトガルは長きにわたった独裁体制を終え「民主化」されました。しかしながら前体制に近い立場であるとみなされていたファドはこれを機に低迷期を迎えます。 今回は後編として革命後のファド低迷期とその復興を中心に「ファドの復興と名曲『Lisboa Menina e Moça』」をテーマとしてお話いたします。初めてファドを聴く方からファドファンまで、リスボンへ旅した気分でお楽しみください。(講師・記)
月本 一史:つきもと・かずふみ リスボン市立ファド博物館公認アンバサダー、 ファドに関する卒論で大学卒業後、リスボン市立ファド博物館へ留学。ファド博物館併設ポルトガルギター育成コースにてAntónio Parreiraに師事。また、Casa do Fado "Velho Pateo de Sant'Ana"でも師Parreira の指導の下演奏経験を重ねながら、Fado Tradicional(古典ファド)を学ぶ。帰国後、演奏活動を開始。その一方でポルトガルギターのメソッド作り、歌手と演奏家の育成、ファドに関する講演・講義にも力を入れ、2004年2月に日本初のポルトガルギター教則本を上梓。以後も頻繁にリスボンへ通い研究を進めつつ、日本での演奏、書籍や映像教則等の執筆・制作、CDのプロデュース、コンサートイベント及びポルトガル文化複合イベントのプロデュースを行っている。演奏者としては、リスボンで「古典をこれだけ古典らしく表現できる弾き手は希少である」と評価を受け、現地ではTUMI(トゥミ)の愛称で呼ばれている。2016年、リスボン市立ファド博物館より指導・メソッド構築・コンサート企画・普及活動等が「ポルトガルのファド文化行政を一任されているファド博物館と同じ機能を日本において果たしている」とされ、初の海外大使として日本ファド大使に任命された。