このたび、「西洋哲学史問答」と銘打って、各時代の哲学を研究する第一人者に、インタビュー形式で西洋哲学史を語っていただく講座を開くことになりました。 全3回のシリーズで、指南役に迎えるのは朝日カルチャーセンターでもお馴染みの納富信留先生、山内志朗先生、伊藤博明先生のお三方です。 聞き手を務める私(斎藤)は、今春発売された[『哲学史入門T』(NHK出版新書)](https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000887182024.html?srsltid=AfmBOore6QrzM-Qa1_drkVE3jStam6_fG_d2oqx9u9mI5eJdpKlsfbmq)で、3人の指南役に哲学史インタビューをしています。そちらとあまり被らずに、重鎮3人に何を語っていただくか。限られた時間ではありますが、せっかくの機会なので、一本筋を通したシリーズとしたい。そこで着想したのが、「プラトン・アリストテレスの受容と継承」というテーマです。 20世紀の哲学者ホワイトヘッドは、主著『過程と実在』のなかで、西洋哲学史の「最も安全な一般的性格づけは、それがプラトンについての一連の脚注からなっているということである」と評しています。 これになぞらえていえば、「プラトンとアリストテレスについての脚注」という視点から、古代ギリシア〜ルネサンス期までの西洋哲学史へ入門しようというのが、本講座の趣旨となります。 講座では、プラトン哲学とアリストテレス哲学の要所を押さえながら、問答を進めていくので、予備知識がない方も安心して受講ください。インタビューの醍醐味は、脱線やこぼれ話。人生を賭けて、それぞれの時代の哲学・思想を研究してきた3人の、本音満載の哲学史語りをお楽しみいただければ幸いです。(斎藤哲也さん記) 画像説明:(左上から時計回りに)納富信留さん、山内志朗さん、斎藤哲也さん、伊藤博明さん <各回の日程・テーマ・講師・主なトピック> 第1回 10月1日[「ギリシア哲学史後半期のプラトンとアリストテレス」 (東京大学教授・納富信留さん、聞き手:人文ライター・斎藤哲也さん)](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7474327) ・その後のアカデメイアとリュケイオン ・ソクラテス好きなヘレニズム時代とプラトン好きなローマ時代 ・新プラトン主義という難所 第2回 11月19日[「中世哲学のなかのプラトン主義とアリストテレス主義」(慶応義塾大学名誉教授・山内志朗さん、聞き手:斎藤哲也さん)](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7474750) ・プラトン・アリストテレスと教父哲学 ・なぜ中世哲学は註解ばかりするのか ・ドミニコ会とフランシスコ会の伝統 第3回 12月17日[「ギリシア哲学とルネサンスの神秘思想」(専修大学教授・伊藤博明さん、聞き手:斎藤哲也さん) ](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7474751) ・知識人からユマニストへ ・ヘルメス思想のなかのギリシア哲学 ・ルネサンスの魔術的・秘儀的自然観 ※各回ごとの参加も可能です。緑色のテーマ部分を押すと詳細ページをご覧いただけます。
納富 信留:のうとみ・のぶる 東京大学教授 1965年東京生まれ。90年東京大学大学院文学研究科修士課程修了、95年ケンブリッジ大学古典学部Ph.D.取得。九州大学、慶應義塾大学文学部を経て、現職。著書に『ソフィストと哲学者の間』(名古屋大学出版会)、『哲学の誕生』(ちくま学芸文庫)、『ソフィストとは誰か?』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『プラトン 理想国の現在』(慶應義塾大学出版会)、『プラトンとの哲学』(岩波新書)、『ギリシア哲学史』(筑摩書房、和辻哲郎文化賞)、『西洋哲学の根源』(放送大学教材)、訳書にプラトン『ソクラテスの弁明』『パイドン』(光文社古典新訳文庫)などがある。
山内 志朗:やまうち・しろう 慶応義塾大名誉教授 1957年山形県生まれ。東京大学大学院文学研究科博士課程退学。慶應義塾大学名誉教授。専攻は、西洋中世近世形而上学、倫理学。主な著書に『普遍論争―近代の源流としての』(平凡社)、『天使の記号学』(岩波書店)、『ライプニッツ』『〈つまずき〉のなかの哲学』(NHK出版)、『哲学と笑いの微妙な関係』(哲学書房)、『〈誤読の哲学〉』(青土社)、『小さな倫理学入門』『感じるスコラ哲学―存在と神を味わった中世』(ともに慶応義塾大学出版会)、『湯殿山の哲学:修験と花と存在と』(ぷねうま舎)、『目的なき人生を生きる』(角川新書)、『過去と和解するための哲学』(大和書房)など多数。2021年12月『ドゥルーズ 内在性の形而上学』(講談社選書メチエ)。
伊藤 博明:いとう・ひろあき 専修大学文学部哲学科教授 1955年生まれ。専門は思想史・芸術論。著書に『ルネサンスの神秘思想』(講談社学術文庫、2012年)、『象徴と寓意』(「アート・ギャラリー10」、集英社、2018年)、共著に『神秘哲学―イスラーム哲学とキリスト教中世3』(岩波書店、2012年)、編著に『哲学の歴史4 ルネサンス』(中央公論新社、2007年)、翻訳にアルチャーティ『エンブレム集』(ありな書房、2000年)、ホラポッロ『ヒエログリフ集』(ありな書房、2020年)、ヴァグナー編『世界初のビジネス書―15世紀イタリア商人 ベネデット・コトルリ15の黄金則』(すばる舎、2021年)などがある。
斎藤 哲也:さいとう・てつや 人文ライター 1971年生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。著書に『哲学史入門T・U・V』『試験に出る哲学』シリーズ(NHK出版新書)、監修に『哲学用語図鑑』(プレジデント社)などがある。
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