人類学者デイヴィッド・グレーバーと考古学者デイヴィッド・ウェングロウの共著である『万物の黎明――人類史を根本からくつがえす』(酒井隆史訳、光文社、2023年)は、これまでの人類史と文明の理解をまったくあたらしいものにアップデートしてしまいました。当著が世界的に大ヒットし、昨年公刊された邦訳版も売れに売れていることから、その衝撃の大きさが分かります。しかし当著は700頁を超える大著であり、かつ内容的には専門書でもあるので、読むのがけっこう大変です。 当講座では、これからの人類史・文明研究においてきわめて重要な役割を担うであろう『万物の黎明』の内容を、翻訳確認等にも関わらせていただいた考古学者の視点から概説します。文字でも都市でもなく、社会的複雑性のシステムではない「文明」という観点から、自己意識的な政治的アクターであるわたしたち人類が創りだしてきた人類史と文明にかんするあたらしいヴィジョンを考えてみましょう。 第1回 不自由でシリアスな人類史と自由で遊戯(プレイ)な人類史 第2回 衝突する文明と衝突しない「文明」 第3回 国家には抗したが、「文明」には抗さなかった社会
小茄子川 歩:こなすかわ・あゆむ 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・特任准教授 1981年生まれ。デカン大学院大学博士課程修了(Ph.D.)。2008年から2013年まで、インド政府招聘留学生としてインド共和国・プネーに所在するデカン大学院大学考古学科に学び、インダス文明遺跡の調査に参加。現在は同大学院大学が行うインダス文明遺跡の調査に発掘区画・整理作業責任者として参加している。日本学術振興会特別研究員PD、人間文化研究機構総合人間文化研究推進センター研究員/京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科客員准教授を経て、現職。専門は、考古学、南アジア基層社会文化・政治経済史研究。著書に『インダス文明の社会構造と都市の原理』(2016年、同成社、第6回日本南アジア学会賞受賞作品[2017年])、共編著に『社会進化の比較考古学—都市・権力・国家—』(2021年、雄山閣)。
【日程変更のお知らせ】 講師都合で12/21(土)⇒12/8(日)に日程が変更になりました。 ※Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはcb9info@asahiculture.comで承ります。