日本列島の弥生文化は、稲作農耕文化の定着、金属器の出現、墳丘墓の出現などに特徴づけられます。これら弥生時代に新たに出現した文化要素の多くは、中国大陸や朝鮮半島との交流を通じてもたらされたものです。また、弥生時代は社会構造が大きく変化していく時代であり、のちに『魏志』倭人伝に記される「国(クニ)」が出現します。この講座では、最新の発掘調査成果をもとに、東アジアの文化を概観したうえで、日本列島各地の弥生文化と対外交流について論じます。今回は『魏志』韓伝と倭人伝に記されたクニグニのうち、帯方郡から末盧国までを取り上げます。 ■各回のテーマ 第1回 10/26 帯方郡の文化 3世紀初頭に楽浪郡の南側を分けて設置された帯方郡の様相、および帯方郡滅亡以後の様相について、土城と古墳を中心に論じます。 第2回 11/16 馬韓の文化と対外交流 京畿地域の雲陽洞遺跡や忠清地域の松節洞遺跡を取り上げて、朝鮮半島西南部にあった馬韓の文化について概観し、楽浪・帯方郡との交流について論じます。 第3回 12/14 辰韓の文化と対外交流 盟主国の斯盧国があった慶州周辺地域の遺跡を取り上げて、朝鮮半島東南部にあった辰韓の文化について概観し、楽浪・帯方郡との交流について論じます。 第4回 1/18 弁韓の文化と対外交流 嶺南地域の茶戸里遺跡や良洞里遺跡を取り上げて、朝鮮半島南部にあった弁韓の文化について概観し、楽浪・帯方郡および倭との交流について論じます。 第5回 2/22 対馬・壱岐の弥生文化と対外交流 玄界灘に浮かぶ対馬と壱岐における弥生文化を概観し、『魏志』倭人伝に記された「対馬国」と「一支国」における海洋民の交流・交易について論じます。 第6回 3/15 唐津周辺の弥生文化と対外交流 佐賀県唐津市から松浦半島一帯における弥生文化を概観し、『魏志』倭人伝に記された「末盧国」の実態と対外交流について論じます。 ■今後の予定ーーーーー 第13回 糸島半島の弥生文化と対外交流 福岡県糸島半島一帯における弥生文化を概観し、『魏志』倭人伝で「一大率」が置かれていたとされる「伊都国」の実態と対外交流について論じます。 第14回 福岡平野の弥生文化と対外交流 福岡平野における弥生文化を概観し、『魏志』倭人伝に記された「奴国」における王墓の出現から志賀島の金印、さらに邪馬台国の時期にいたる対外交流について論じます。 第15回 早良平野と嘉穂盆地の弥生文化と対外交流 福岡県早良平野と遠賀川流域の弥生文化を概観し、幻の「早良国」と「不弥国」の実態を明らかにします。 第16回 佐賀平野の弥生文化と対外交流 佐賀平野の吉野ヶ里遺跡とその周辺の遺跡を概観し、有明海沿岸のクニグニの弥生文化と対外交流について論じます。 第17回 山陰・出雲の弥生文化と対外交流 山陰地域における弥生文化を概観し、青銅器や鉄器にみられる渡来系要素から出雲の文化と対外交流について論じます。 第18回 瀬戸内・吉備の弥生文化と対外交流 瀬戸内の吉備地域における弥生文化を概観し、吉備の発展過程と対外交流について論じます。 第19回 大阪湾沿岸の弥生文化と対外交流 池上曽根遺跡や加美遺跡を取り上げて大阪湾沿岸の弥生文化を概観し、農耕社会の発展過程について論じます。 第20回 大和・邪馬台国の文化と対外交流 唐古・鍵遺跡や纒向遺跡を取り上げて大和地域の弥生文化を概観し、『魏志』倭人伝に記された「邪馬台国」の中枢の様相と対外交流について論じます。 第21回 東海の弥生文化と対外交流 『魏志』倭人伝に記された「狗奴国」の候補地とされる濃尾地域と遠江・駿河地域の弥生文化を概観し、東海地方の特色について論じます。 第22回 中部・北陸の弥生文化と対外交流 北陸地域と中部地域の弥生文化を概観し、東日本への弥生文化の拡散の過程と対外交流について論じます。 第23回 関東の弥生文化と対外交流 関東地域における弥生文化を概観し、稲作農耕の受容の実態を明らかにするとともに、鉄器など渡来系文物に着目し、対外交流についても論じます。 第24回 東北の弥生文化 東北地域における弥生時代の主要遺跡を取り上げて、東北南部・中部・北部における弥生文化の受容過程について論じます。
高久 健二:たかく・けんじ 専修大学教授 1967年生まれ。九州大学大学院文学研究科修士課程修了、韓国・東亜大学校大学院史学科博士課程修了・文学博士取得。九州大学大学院比較社会文化研究科助手、埼玉大学教養学部准教授を経て、現在、専修大学文学部教授。専門は韓国・朝鮮考古学、東アジアの古墳文化。著書:『楽浪古墳文化研究』(学研文化社)
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