奇跡の古典文学『源氏物語』の作者・紫式部。現在放映中のNHK大河ドラマ「光る君へ」では、才気あふれる彼女の日常が生き生きと描き出されて、また紫式部ほか貴族たちが実際に筆を持ち、流麗な文字を表現しています。 今回、番組タイトルの揮毫ならびに書道指導を行っている若手書家・根本知氏と、書道文化の研究者であり、美術品にも明るい笠嶋忠幸氏(出光美術館上席学芸員)をお迎えし、対談形式で、舞台裏のエピソードとともに平安時代の書の魅力を語っていただきます。 書道は、ユネスコの無形文化遺産の登録にむけた活動が推進されるほか、近年の学生による「書道パフォーマンス」は全国に普及し、またSNS上では多彩な筆文字デザインが掲示されるなど、筆文字への親しみと表現の可能性は、ますます広がっています。 その一方では、パソコン、スマホなど機器の活字が、私たちの日常を覆っています。 果たして今後の「手書き文字」文化は、どのように展開していくのか? 未来への予想も交えながら、美しい名筆の画像とともに、書の魅力を説き明かす90分です。
笠嶋 忠幸:出光美術館・上席学芸員 福井県生まれ。東京学芸大学教育学部特別教科(書道)を卒業、学習院大学大学院(美学美術史)修了。博士(美術史学)。現在、出光美術館学芸部次長・上席学芸員。近著に『日本美術における「書」の造形史』笠間書院(第26回國華賞受賞)がある。青山学院大学・二松学舎大学ほかで講師。専攻は日本美術史。
根本 知:(ねもと・さとし) 博士(書道学)。大東文化大学大学院博士課程修了(2013)。2024年、NHK大河ドラマ「光る君へ」題字揮毫および書道指導。立正大学文学部文学科特任講師。近著に『平安かな書道入門』(雄山閣)、『書の風流 近代藝術家の美学』(春陽堂書店)がある。