「神を殺した」のはニーチェだったりダーウィンだったりすると言われるが、事はもう少し複雑である。それでも、生まれ落ちた共同体で教えられた人生の教えがもう通用しないことに気づいた若者はいつの時代も悩み苦しむもので、その深い苦悩が傑作小説の創造に繋がることも時にあって、ジョイスとロレンスの標記小説はその好例となる。これらを読み比べながら、「神は死んで」おらず、形を変えたのだということを一緒に見てゆきたい。(講師・記) <各回テーマ(予定)> 第1回:ジョイス対ロレンス:違っているとされるが、実は似ている 同時代のヴァージニア・ウルフや少し後輩のジョージ・オーウェルなどとも比較して 第2回:ジョイス『スティーヴン・ヒーロー』から『若い藝術家の肖像』前半:家庭から、時代へ、個人へ 第3回:ロレンス『息子と恋人』前半:時代から、家庭へ、個人へ 第4回:ジョイス『若い藝術家の肖像』後半:物から人生へ 第5回:ロレンス『息子と恋人』後半:物から人生へ 第6回:ジョイス対ロレンス2:まとめ
武藤 浩史:慶應義塾大学名誉教授 1958年生まれ。英国ウォリック大学博士課程修了(Ph.D.)、慶應義塾大学名誉教授。専門は、英文学・文化。著書:『「ドラキュラ」からブンガク』(慶應義塾大学出版会)、『「チャタレー夫人の恋人」と身体知』(筑摩書房)、『ビートルズは音楽を超える』(平凡社新書)。翻訳:D・H・ロレンス『息子と恋人』小野寺健と共訳(ちくま文庫)、『D・H・ロレンス幻視譚集』(平凡社ライブラリー)、マーガレット・ドラブル『昏い水』(新潮社)、サミュエル・バトラー『エレホン』(新潮社)ほか多数。
<テキスト>※各自ご用意ください。 ジェイムズ・ジョイス『若い藝術家の肖像』丸谷才一訳(集英社文庫) D.H.ロレンス『息子と恋人』小野寺健・武藤浩史訳(ちくま文庫)
★2月のみ第1週(2/4)です。ご注意ください。Zoomウェビナーを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問い合わせは、yk9yokohama@asahiculture.comで承ります。