私たちは毎日当たり前のようにスマホのナビを使っています。しかしナビが相対性理論と密接な関係があることを知っている人は少ないでしょう。相対性理論は時間の進み方が様々状況で変わることを明らかにしました。少し前までは相対性理論は実生活には何の役にも立たない机上の理論と思われてきましたが、現代技術の発展によって相対性理論が実生活の役に立つ応用があることが分かったのです。この講座では、時間についてのさまざまな話題と、相対性理論をなるべくわかりやすく、もちろん数式を使わず説明して、どのように時間の流れが変わるのか、そしてそのことがどのように実際の生活に応用されているかを説明します。(講師記) ※各回予定 1、時間は本当に流れているのか? 時間を遡ることは人類の夢ですが、物理学では時間は未来にしか進まないとされています。物理学では時間が未来にしか進まないのかをどのように説明されるのかを歴史的な話も含めてお話します。 2、時間を測るー時計の歴史と現代の時計 時間を測るのは、もちろん時計です。時計の歴史と、300億年で1秒ほどしかくるわない現在の最先端の時計の話をします。正確な時計の登場によって、相対性理論による時間の進みの変化を測れるようになったのです。 3、時間の流れを変える方法1 時間の流れを変える一つの方法は運動することです。このことは特殊相対論というアインシュタインが1905年に提案した理論で明らかにしました。特殊相対論の優しい解説をします。 4、時間の流れを変える方法2 時間の流れを変えるもう一つの方法は重力です。これは一般相対論と呼ばれる特殊相対論を拡張した理論によって明らかにされました。一般相対論では時間が止まることも起こります。それが ブラックホールです。一般相対論とブラックホールのお話をします。 5、時間の流れとカーナビゲーション 特殊相対論と一般相対論が実正確に応用されている例としてカーナビを取り上げます。カーナビの仕組みを詳しく説明して、どのように特殊相対論と一般相対論が使われているのか説明します。 6、時間とは何か?についての最先端の話題 時間は本当に過去から未来にしか流れないのか。またそもそも時間とは何か。実はこれらの疑問に対する完全な答えはまだ得られていません。最後にこれらの疑問に答えるいくつかの話題をお話します。
二間瀬 敏史:(ふたませ・としふみ)東北大学名誉教授。専門は、一般相対性理論、宇宙論。1981年京都大学理学部卒業。1983年カーディフ大学大学院博士課程修了(イギリス)。マックスプランク天体物理学研究所、ワシントン大学研究員、弘前大学理学部助教授、東北大学大学院理学研科教授、京都産業大学理学部教授を経て、東北大学名誉教授。著書に『ブラックホール―宇宙最大の謎はどこまで解明されたか』(2022)中公新書、『どうして時間は「流れる」のか』(2012)PHP新書、他多数。
★日程変更10/16→10/23
Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せやご質問はtc9acc2@asahiculture.comで承ります。