巨石墳で有名な奈良県石舞台古墳。横穴式石室の天井石の一つは77トンと言います。また見瀬丸山古墳の横穴式石室の全長は、じつに28.4mにもおよびます。ここまで巨大な横穴式石室は、いったい何のために築かれたのでしょうか。もともとは亡き首長の霊魂の住みかとして、5世紀後半頃に導入されたのですが、6世紀後半になって中央政権を構成した有力首長層のステータスシンボルになって、「公的」な墓室の地位を獲得します。これら畿内の横穴式石室には3段階が設定できますが、今回は5世紀後半から6世紀中ごろにかけての第1段階を対象として、その特徴や変遷を通して本質を考えてみます。
広瀬 和雄:国立歴史民俗博物館名誉教授 1947年京都府生まれ。同志社大学卒業。日本考古学専攻(弥生・古墳時代の政治構造の研究)。文学博士(大阪大学)。大阪府教育委員会や大阪府立弥生文化博物館での勤務、奈良女子大学大学院教授、国立歴史民俗博物館教授を経て現職。主な著書に『古墳時代政治構造の研究』(塙書房、2007年)、『日本考古学の通説を疑う』(洋泉社新書、2003年)、『前方後円墳国家』(角川選書、2003年)、『前方後円墳の世界』(岩波新書、2010 年)、『カミ観念と古代国家』(角川叢書、2010年)など。共編著に『季刊 考古学 117号』(雄山閣、2011年)、『古墳時代〈上〉〈下〉』(青木書店、2011年)、『前方後円墳とはなにか』(中公叢書、2019年)など。
Zoomウェビナーを使用したオンライン受講の申し込みページです。教室受講をご希望の場合は別の当該講座紹介からお申込みください(講師は教室)。お問合せはasaculonline009@asahiculture.comで承ります。