宇宙から地球を初めて眺めたガガーリンは「地球は青かった」という言葉を残しています。その青い地球の表層(顔)は山、川、海、石でできています。地球表層を作る部分の相貌は地球科学(地質学、地理学)によって明らかにされています。今回はそれらの相貌がどのようにしてできてきたのかについて学びます。まず陸上の山と川をよく観察して海を眺め、それらがどのようにしてできてきたのかを考えます。最後にそれらを作った3000種もある石についてたった3つの石を知ることで地球がわかることを学びます。この講座によって我々が住んでいる地球の環境をより良く理解することをめざします。(講師・記) 【2024年1月スタート・12回完結の予定】 ・1-3月 「山はどうしてできるのか」(終了) ・4-6月 「川はどうしてできるのか」(終了) ・7-9月 「海はどうしてできたのか」(終了) ・10-12月 「三つの石で地球がわかる」 【10月期のテーマ「三つの石で地球がわかる」 】 地球は約46億年前に隕石が合体して誕生した。隕石の衝突熱で地球は半分溶けたマグマの海(マグマオーシャン)になり、重力の作用で重い物質が内部に沈殿し、金属、岩石、海洋(水)、大気(空気)が同心円状になった惑星、地球システムができた。地震波により、現在の固体地球には核(金属)、マントル(岩石)、地殻(岩石)、海洋地殻(海)と大陸地殻(陸))の3つの層が知られる。マントルは全岩石の82.3%を占める「緑の石」、海洋地殻は1.62%の「黒い石」、大陸は0.68%の「白い石」から成る。三つの石はこの順にできたので地球史を記憶する。石を作る造岩鉱物や広域分布する橄欖岩が変質した蛇紋岩体、洪水玄武岩、バソリスなどを見ていく。(講師・記) ●10月 緑の石の物語 地球がどのようにしてできたのかを概観する。「冥王代」に地球の成層構造、地球システムが形成されたシナリオを見ていく。最初にできたマントルを作る「緑の石」、橄欖岩の実態を眺める。橄欖岩の分布は地表にいる我々の目からは極めて少ないように見えるが地球全体で見ると最も多い岩石であり、すべての石の始まりで、石の母(イヴ)ともいえる。橄欖岩の変質でできた蛇紋岩の多様性、蛇紋岩三位一体についても見ていく。 ●11月 黒い石の物語 海洋地殻を作っている黒い石、玄武岩は上部マントルの緑色の石の部分融解によってできたことを見ていく。玄武岩は海洋地殻だけでなく海山や島弧の火山をも作っている。玄武岩ができるプロセスは火山の噴火やその産物、室内実験などからその化学組成や形成の物理・化学的な条件などは良く理解されている。膨大なマグマが覆った洪水玄武岩台地や海底の海台などもみていく。黒い石は地上の様々な絶景やジオパークを作っている。 ●12月 白い石と他山の石の物語 大陸地殻を作る白い石、花崗岩は島弧や大陸を作る。花崗岩はの形成は様々な方法、多様なタイプがある。日本列島では中国山地や北上山地に多い。花崗岩中の磁鉄鉱は砂鉄の起源である。花崗岩の用途は様々で人類の文明に貢献している。花崗岩には橄欖岩や玄武岩には含まれない多くの元素が農集し、有用な金属鉱床になっている。爆発的な噴火で出来たバソリスもちら見する。最後に他山の石をちら見して三つの石のまとめを行う。 参考図書 いずれも講談社ブルーバックスの講師の著書です。 ・山はどうしてできるのか ・川はどうしてできるのか ・海はどうしてできたのか ・三つの石で地球がわかる
藤岡 換太郎:静岡大学防災総合センター客員教授 1946年京都市生まれ。東京大学理学系大学院修士課程修了。理学博士(東京大学)。専門は地球科学。東京大学海洋研究所助手、海洋科学技術センター深海研究部研究主幹、グローバル・オーシャン・ディベロップメント観測研究部部長、海洋研究開発機構(JAMSTEC)特任上席研究員などを歴任。機構退職後、神奈川大学・放送大学の非常勤講師を経て静岡大学防災総合センター客員教授。潜水調査船「しんかい6500」に51回乗船。三大洋人類初潜航を達成。海底地形名委員会での功績から2012年海上保安庁長官表彰を受ける。著書に『深海底の科学』(NHKブックス)『海はどうしてできたのか』『山はどうしてできるのか』『川はどうしてできるのか』『フォッサマグナ』『三つの石で地球がわかる』『見えない絶景 深海底巨大地形』(いずれも講談社ブルーバックス)『海がわかる57の話』(誠文堂新光社)『相模湾 深海の八景―知られざる世界を探る』『日本海の拡大と伊豆弧の衝突(共著)』(いずれも有隣堂)『深海底の地球科学』(朝倉書店)など多数。近著は『天変地異の地球学 巨大地震、異常気象から大量絶滅まで』 (講談社ブルーバックス)。
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