**・12/20(金)10:30〜12:00 「鳥類の標本学、標本収集とその意義」 (講師:岩見 恭子さん)** 自然史標本というと昆虫採集を思い浮かべる方が多いと思います。身近な自然を知る第一歩だったでしょう。標本はその土地や時代にその生き物がいたという証拠になります。多くの生物が失われていく現在、その存在はあらためて注目されています。鳥類の標本は主に剥製標本です。美しい羽毛をそのまま残すためですが、製作技法を学ぶ機会が少なくなったため、標本を残す活動が低下し、博物館の課題となっています。 標本が残されなくなるとどうなるのか、標本を通して見える鳥類学の世界をお話しします。(岩見講師・記) **・12/20(金)13:00〜14:30 「アホウドリ、新たな保全を目指して」 (講師:富田 直樹さん)** アホウドリは翼を広げると2メートルを超える北太平洋最大の海鳥です。明治時代以降、羽毛採取のための乱獲により個体数が急激に減少し、現在は伊豆諸島鳥島と尖閣諸島で主に繁殖する絶滅危惧種で、国の特別天然記念物でもあります。鳥島では、1970年代後半から保全活動が行われ、個体数は回復傾向にあります。これまで1種と思われていたアホウドリですが、近年鳥島と尖閣諸島の集団は別種ほどに異なることが明らかになりました。今後、それぞれの独自性を保つ保全策の検討が急務となっています。 本講座では、これまでのアホウドリの保全活動を紹介し、今後の展望についてお話しします。(富田講師・記)
富田 直樹:公益財団法人山階鳥類研究所研究員。大阪市立大学大学院理学研究科後期博士課程修了、博士(理学)。鳥島のアホウドリ調査や環境省モニタリングサイト1000の海鳥調査を担当し、海鳥繁殖地である島を年中渡り歩いている。最近はセンカクアホウドリを探して海にも出ている。著書に『足環をつけた鳥が教えてくれること』(山と渓谷社、共著)、『野外鳥類調査ガイド』(朝倉書店、共著)などがある。
岩見 恭子:公益財団法人山階鳥類研究所研究員。2006年から2011年まで国立科学博物館分子生物多様性標本資料センター特任研究員として標本収集と製作を担う。山階鳥類研究所では全国に標本収集に赴き、現地の博物館などで標本製作技法を講習会として行う。国内の標本をより多く、各地に残すことを使命として活動している。
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