『道草』は夏目漱石唯一の自伝的小説です。主人公の健三は、「遠い所から帰って来」た存在として、帰国後の兄弟や親類との関係において、様々な金銭の貸借関係の中に巻き込まれていきます。そこに突然、健三の養父である島田が現れて、忘れようとしていた過去の記憶を、健三に想い起こさせます。人間にとっての、子ども時代の記憶が、どのようにその人間の在り方を規定してしまうのか、表現の細部から考えていきます。(講師・記) ※2024年1月期開講。1年かけて読み進めます。 <テキスト> 『道草』夏目漱石 お手持ちのもので結構ですが、授業は岩波文庫をもとに進めます。 各自ご用意ください。当センターでは販売しておりませんので、ご了承ください。 <全12回のカリキュラム> ※予定は変更になる場合がございます。 【2024年1月期】(終了) 第1回 1〜7章 健三と島田との過去 第2回 8〜17章 よみがえる記憶 第3回 18〜26章 健三の兄と姉 【2024年4月期】(終了) 第4回 27〜35章 健三の細君と兄 第5回 36〜44章 健三の過去の記憶 第6回 45〜53章 細君の妊娠 【2024年7月期】(終了) 第7回 54〜63章 外国暮しの記憶 第8回 64〜72章 健三への経済依存 第9回 73〜81章 健三の妻の家族 【2024年10月期】 第10回 82〜90章 妻の出産と養父 第11回 91〜96章 過去の記憶 第12回 97〜102章 「片付く」こと
小森 陽一:こもり・よういち 東京大学名誉教授 1953年生まれ。北海道大学大学院文学研究科修了。成城大学文学部助教授、東京大学助教授・教授を経て現職。著書に『構造としての語り』(新曜社)、『読むための理論 文学・思想・批評』(世織書房)『知の技法』(共著・東京大学出版会)、『ことばの力・平和の力 近代日本文学と日本国憲法』(かもがわ出版)、『難民(思考のフロンティア)』(共著・岩波書店)。『戦後日本は戦争をしてきた』(共著・角川書店)、『理不尽社会に言葉の力を』『戦争への想像力』『生きさせる思想−記憶の解析・生存の肯定』(新日本出版社)、『天皇の玉音放送』(朝日新聞出版)、『漱石論 21世紀を生き延びるために』(岩波書店) 、『東アジア歴史認識論争のメタヒストリー』(共著・青弓社)、『壊れゆく世界と時代の課題』(共著・岩波書店)などがある。
・テキスト『道草』夏目漱石 お手持ちのもので結構ですが、授業は岩波文庫をもとに進めます。各自ご用意ください。
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