このほど、20年ぶりに新紙幣が登場しました。このとき注目の的になるのが、だれが紙幣の肖像として選ばれるか、です。この講座では「紙幣の顔」となった人々を分析しつつ、なぜその人が選ばれたのか、を社会との連関の中で考えていきたいと思います。そしてその成果をもとにして、今回採用された渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎はどんな生涯を送った人なのか、いまなぜこの人たちが選ばれたのか、を考察します。(講師・記) 1、ぼくの知らない時代の紙幣 戦前の紙幣には、神功皇后や和気清麻呂など、古代の人たちが多く選ばれているイメージがあります。また共通しているのは、万世一系の天皇家、というイメージと深く関わりを持つ、ということです。描かれた人物を説明しながら、そもそもの紙幣の始まりを考えていきましょう。 2,ぼくが子どもの頃の紙幣 いま62才のぼくが親しんでいたのは、10000円札・5000円札が聖徳太子、1000円が伊藤博文、500円札が岩倉具視、100円札が板垣退助、という陣容になります。明治期に活躍した政治家、それに「日本を作った」聖徳太子。戦後の日本は、明治維新をもう一度、という考えを持っていたのでしょうか。 3,20年使われた前回の紙幣@ 10000円札−福沢諭吉、5000円札−新渡戸稲造・樋口一葉、1000円−夏目漱石・野口英世。みなが明治維新後の人で、肖像写真がある人です。それぞれが近代日本に欠かせぬ人物だったと思われますが、その実像を探っていきましょう。 4,20年使われた前回の紙幣A 第3回の続きです。Aの時期と明らかに異なるのは、政治家が消えていることです。政治家は海外からのものも含めて、評価には毀誉褒貶がつきまといます。そのために避けた方が無難であると判断されたのかも知れませんね。 5,今回の紙幣@ 10000円札−渋沢栄一。日本の資本主義の父といわれた人物ですが、その業績について語ってみましょう。 6、今回の紙幣A 5000円札ー津田梅子、1000円札−北里柴三郎。今回も政治家の登用は見送られました。女子教育の津田、医学・衛生学の北里。それぞれの偉業については問題がありませんが、かれらにまつわる「面白い話」にも光を当ててみましょう。
本郷 和人:東京大学史料編纂所教授 1960年東京の下町に生まれ、下町に育つ。83年東京大学文学部卒業。86年、東京大学大学院人文科学科修士課程修了。88年東京大学大学院人文科学科博士課程単位取得。子どもの頃から歴史物語が大好き。いつの間にかそれが仕事になっていた。同業者で美人の妻(本郷恵子さん)との間に一男(タクトくん。ただし指揮者になる予定はない)一猫(黒猫アルトくん。ただし唱わない)あり。著書に『人物を読む日本中世史』(講談社)ほか多数。
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