「魏志倭人伝」は、西暦284年ごろ、いまから1700年以上まえに書かれた。中国の西晋時代の歴史家、陳寿の著作『三国志』の一部をなす。「魏志倭人伝」は、わが国のことをかなりくわしく記したもっとも古い文献である。「魏志倭人伝」は、2000字たらずの文章であるが、現代の日本文になおすと、およそ400字づめ原稿用紙20枚程度の分量となる。 この講座では、「魏志倭人伝」を他の諸資料を参考にしながら読み進め、古代日本の姿を総合的に探究する。とくに、女王卑弥呼は、どのような人物なのか、邪馬台国はどこにあったのか、などに焦点をあてる。「魏志倭人伝」の記述内容は、『古事記』『日本書紀』などの日本がわの文献の記述内容と、どのような関係をもつのか。邪馬台国問題は、なぜ解けないのか。これまでの諸説を整理する。 総合的に探究し、構造をもち、ストーリーとして理解できるような答えが必要である。そのためには、考古学的データ、中国・朝鮮の文献データ、日本がわの文献データ、民俗学的なデータなど、諸データによる情報を総合的に検討する必要がある。私は、そのようにすれば、邪馬台国問題は、現代の科学技術の範囲で解ける問題であると考える。とくに、文献学と考古学とは問題を解くための車の両輪である。日本がわ文献などを排除し、考古学の範囲内で解こう、などとするから情報不足で解けなくなるのである。(講師・記) ※2024年4月開講。 ※授業開始20分前程から受講者による発表(テーマ自由)を行います。(希望者のみ)
安本 美典:元産業能率大学教授・日本古代史学者 1934年旧満洲に生まれる。京都大学文学部卒業。日本古代史学者。元産業能率大学教授。文学博士。『季刊邪馬台国』編集顧問。主な著書:『神武東遷』(中公新書)、『卑弥呼の謎』(講談社現代新書)、『邪馬台国への道』(筑摩書房)、『巨大古墳の被葬者は誰か』『応神天皇の秘密』(以上、廣済堂出版)、『日本誕生記(T、U)』(PHP研究所)、『データサイエンスが解く邪馬台国 北部九州説はゆるがない』(朝日新書)、勉誠出版から『古代物部氏と「先代旧事本紀」の謎』『日本神話120の謎』『大和朝廷の起源』『「邪馬台国畿内説」徹底批判』など古代学シリーズを刊行中。
・授業開始20分前より受講生による発表(テーマ自由、希望者のみ参加)があります。 ・教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。