ユダヤ教では偶像崇拝は固く禁じられているため、もともと敬虔なユダヤ教徒には画家という職業選択はありませんでした。スペインの代表的画家ベラスケスの家系が実は改宗ユダヤ人であったことは、近年ようやく知られるようになってきましたが、これはきわめて例外的で、ユダヤ系の画家、彫刻家、美術批評家、美術史家、画商が現れるのは、啓蒙主義以後の西欧諸国でユダヤ人が一定の市民権を獲得し、同化を始めてからのことです。その後はピサロ、シャガール、モディリアーニ、リーバーマン、ニューマン、ロスコらの画家をはじめ、数々の重要人物を美術界に輩出することになります。 本講座では祖国を持たなかったユダヤ人が、その居住国でどのようにして美術に関わる職業を選択をし生き抜いていったか、その静かな闘争の軌跡を物語ることにします。(講師・記) 書籍は[こちら](https://www.amazon.co.jp/dp/B0D62MZCRD?tag=gorogoro054-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1)からご購入いただけます。 【10月〜12月】 ・パリ 印象派画家カミーユ・ピサロ、反ユダヤ主義、ドレフュス事件と画家たちの分裂 ・エコール・ド・パリ 異邦人たちがつくりあげた芸術の都 ・マルク・シャガール 「二つの世界」の狭間を生き抜いたイディッシュ文化の末裔 10月のみのお申込みは[こちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7399001) 11月のみのお申込みは[こちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7580407) 12月のみのお申込みは[こちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7580408) 【1月〜3月】 ・ウィーン1900年頃の芸術とユダヤ系パトロンたち ・クリムトの描くユダヤ系女性たち 映画「黄金のアデーレ」 ナチス侵略と亡命 ・ベルリン 芸術の揺籠としてのサロン、カフェ 反ユダヤ主義の動き 【4月〜6月】 ・戦争、ホロコースト、退廃芸術、アメリカ亡命、文化の大移動 ・ニューヨーク ユダヤ系移民たちの新たな戦場としてのアメリカ美術界 ・魂の中にしか祖国を持てなかった人々が美術に懸けた想い 画家、画商、美術史家
圀府寺 司:こうでら・つかさ 大阪大学名誉教授。大阪大学文学部卒、アムステルダム大学美術史研究所・修士、博士。オランダ・エラスムス財団よりエラスムス研究賞受賞。主要著書:『ユダヤ人と近代美術』、『ああ、誰がシャガールを理解したでしょうか?』(編著)、『西洋美術研究4 特集・美術史とユダヤ』(編著)、 Vincent van Gogh: Christianity versus Nature (『ファン・ゴッホ 宗教と自然の闘争』小学館)、The Mythology of Vincent van Gogh (『ファン・ゴッホ神話』編著 テレビ朝日)、Van Gogh & Japan (『ファン・ゴッホと日本』共編著 青幻舎)、『ファン・ゴッホ生成変容史』(三元社)ほか、訳書に『ファン・ゴッホの手紙 I・II』(新潮社) がある。
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