後期ドイツ・ロマン派においてブラームスは音楽表現の一つの様式を生み出したと言ってもよい。ブラームスはルネサンスやバロック時代の音楽を受容するとともに、同時代の作曲家の作品とも密接な結びつきを持っていた。事実、彼はショパンの作品校訂に従事するだけではなく、ヴァーグナーの作品にもふかい関心を示した。この講座ではブラームスを軸に彼と相互の影響関係のあった作曲家を取り上げ、どのようにブラームスの創作に彼らの音楽が反映していったのかを取り上げ、19世紀後半のドイツ音楽におけるブラームスについて改めて考えていきたい。(講師・記) 1 ブラームスとローベルト・シューマンおよびメンデルスゾーン ブラームスの創作においてシューマンとメンデルスゾーンからの影響はきわめて大きかった。 実際にどのような影響関係があったのかを取り上げる。 2 ブラームスとクララ・シューマン ブラームスは終生、クララ・シューマンと深い親交を結んだ。 ブラームスは創作においてクララに意見を求めることが多かった。創作における両者の関係について取り上げる。 3 ブラームスとヨーゼフ・ヨアヒム ブラームスは多くの作品創作においてヨアヒムの助言を求め、ブラームスは作曲家ヨアヒムを高く評価していた。 この回ではブラームスとヨアヒムとの関係について取り上げる。 4 ブラームスとシューベルト ブラームスがもっとも親近感を覚えた作曲家はシューベルトである。 ハンブルク時代からシューベルトに親しみ、その影響はピアノ作品や室内楽にも及ぶ。こ の回ではブラームスの創作におけるシューベルトの影響について取り上げる。 5 ブラームスとリストおよびヴァーグナー 若き日のブラームスが最初に影響を受けた一人がリストとヴァーグナーである。 ヴァーグナーの作品を彼は高く評価し、その影響や関連はブラームスの創作にも反映している。 この回はリストとヴァーグナーとの関係について取り上げる。 6 ブラームスと友人たち ブラームスから影響を受けた作曲家は多い。その一人がブルッフで、彼は交響曲第1番をブラームスに献呈している。 この回ではヘルツォーゲンベルクやデッソフ、キルヒナーなどの友人たちとの創作の関連性について取り上げる。
西原 稔:桐朋学園大学教授 山形県生まれ。東京藝術大学大学院博士過程満期退学。現在、桐朋学園大学音楽学部教授。18、19世紀を主対象に音楽社会史や音楽思想史を専攻。「音楽家の社会史」、「聖なるイメージの音楽」(以上、音楽之友社)、「ピアノの誕生」(講談社)、「楽聖ベートーヴェンの誕生」(平凡社)などの著書のほかに、共著・共編で「ベートーヴェン事典」(東京書籍)、監訳・共訳で「オペラ事典」、「ベートーヴェン事典」(平凡社)などがある。現在、シューマンとブラームスに関する著作に取り組んでいる。
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