10月期は初音(はつね)巻を読みます。少女(おとめ)巻の巻末で光源氏の新しい大邸宅六条院が完成し、続く玉鬘巻以降、初音・胡蝶・蛍・常夏・野分……という巻名からもうかがわれるように、過ぎゆく季節の流れのなかで、六条院を舞台に、光源氏と玉鬘の美しくもせつない恋物語が展開するわけですが(この二人は結局互いに思い交わしあうだけの仲で終わります)、初音巻は玉鬘巻の翌年正月、六条院に住む女君たち――紫の上、秋好む中宮、花散里、明石の御方、そして玉鬘――それぞれの個性がまことに印象的に語られます。 この講座は月1回で進度はゆっくりですが、そのつど物語全体を見渡しながら精読するという読み方をしています。また毎回これまでの物語の流れを概観しますので、随時聴講可能です。(講師・記) ◆「シリーズ・源氏物語がたり」関連講座の一覧は[こちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WTokushuShosai.do?tokushuId=781)をご覧ください。
藤原 克己:(ふじわら・かつみ)東京大学名誉教授 1953年生まれ。岡山大学講師、神戸大学助教授、東京大学教授、武蔵野大学特任教授を歴任。主著に『源氏物語 におう よそおう いのる』(ウェッジ選書、共著)、『菅原道真と平安朝漢文学』(東京大学出版会)、『菅原道真 詩人の運命』(ウェッジ選書)。監修書に『はじめて読む 源氏物語』(花鳥社)。
『源氏物語』のテキストは各自ご用意下さい。どのテキストでもかまいません。新潮日本古典集成『源氏物語 四』(新潮社)、新編日本古典文学全集『源氏物語B』(小学館)、ほかに岩波文庫(第四巻)などがあります。
教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。