ラテン文字世界としての西欧世界を原動力に唯一のグローバル・システムが成立する以前には、地球上には特色ある複数の文化世界が存在していた。それらのうち、アラビア文字世界としてのイスラム世界の世界帝国的存在であったオスマン帝国、漢字世界の世界帝国たる大清帝国、そして漢字世界の周辺に位置した日本について、それら伝統と、「西洋の衝撃」の下における伝統の変容過程について、比較史的に検討してみたい。なお、「百聞は一見にしかず」、図像資料もできるだけお目せしたい。(講師記) 前期: 伝統の構造 (2024年10月〜2025年2月開催予定) 第1回 世界秩序と政治単位 第2回 政治単位とそれを支える統合のシステムとアイデンティティ 第3回 支配空間と支配組織 第4回 支配エリートとサブ・エリートたち 第5回 社会成層体系と身分秩序 第6回 社会経済システムと世界経済とのかかわり 第7回 文化の基礎 第8回 文化の諸ジャンルのあり方 後期予定:変容の過程 (2025年4月〜7月開催予定) 第 9回 近代西欧を原動力とするグローバリゼーションの進展 第10回 「西洋の衝撃」の到来の様態 第11回 「西洋化」改革の開始 第12回 支配組織の「西洋化」と支配エリートのあり方 第13回 グローバル化と社会・経済システム 第14回 技術・知識・生産システムの受容と「産業化」 第15回 文化の「西洋化」 第16回 政治体の統合のシステムとアイデンティティへの影響の諸相
鈴木 董:東京大学名誉教授 1947年生まれ。東京大学法学部卒業。82年同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。専攻はオスマン帝国史、比較史・比較文化にも深い関心をもつ。東京大学東洋文化研究所助教授を経て、91年から同教授、2012年から東京大学名誉教授。著書:『オスマン帝国―イスラム世界の柔らかい専制』(講談社現代新書)、『文字世界で読む文明論 比較人類史七つの視点』 (講談社現代新書)、『オスマン帝国の解体―文化世界と国民国家』(講談社学術文庫)、『図説イスタンブル歴史散歩』(河出書房新社)、『食はイスタンブルにあり―君府名物考』(講談社学術文庫)、『世界の食文化―トルコ』(農文協)、『ナショナリズムとイスラム的共存』(千倉書房)、『オスマン帝国の権力とエリート』『オスマン帝国とイスラム世界』(東京大学出版会)、『文字と組織の世界史』(山川出版社)、『大人のための「世界史」ゼミ』(山川出版社)、編著の『帝国の崩壊』上下(山川出版社)、編著『トルコ読本』(河出書房新社)、『講義―宗教の戦争論』(山川出版社)、『歴史とは何か―新しい「世界史」を求めて』(岡本隆司教授との共著、山川出版社)など多数。最新刊に単著『オスマン帝国の世界秩序と外交』(名古屋大学出版会)、編著『講義 宗教の戦争論』(山川出版社)。
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