「ピアノの詩人」と謳われたショパンは1810年に生まれました。この時代はピアノという楽器の完成期で、ショパンはその魅力を存分に伝える数々の名作を生み出しました。しかし、ショパンの音楽は突然生まれたわけではありません。そこには先人の大家からの影響があり、またショパンの音楽は、さらに後人の大作曲家に大きな影響を与えたのです。ショパンを中心に連鎖する深淵なる音楽世界をショパンの研究者下田幸二とショパン演奏の第一人者高橋多佳子がご案内いたします。 第6回は『ショパンとシューマン』文学的思考と音楽をテーマにお届けします。 「帽子をとりたまえ、諸君、天才だ」1831年、シューマンはショパンを音楽誌で絶賛します。文学と音楽を結びつけた鬼才シューマン。同い年の音楽家としてロマン派の世を生きた鬼才と天才の魅力に迫ります。 演奏曲は、シューマン『ピアノ協奏曲』ほか。 画像説明 (左)高橋多佳子さん ©Shinichiro Saigo (右)下田幸二さん 《今後のテーマ予定》 全12回 第6回 『ショパンとシューマン』 文学的思考と音楽 ※今期開講 第7回 『ショパンとリスト』 驚異のヴィルトゥオーゾ 第8回 『ショパンとブラームス』 ”Neue Bahnen” =「新しき道」 第9回 『ショパンとドビュッシー』 印象派からのショパンへの憧憬 第10回 『ショパンとラヴェル』 ピアニスティックな妙味と色彩 第11回 『スクリャービンとショパン』 ロマンと神秘の世界 第12回 『ラフマニノフとショパン』 大ピアニストが愛したショパン 《これまで終了したテーマ》 第1回『バッハとショパン』 偉大なる「音楽の父」とショパン *終了しました 第2回『モーツァルトとショパン』 天才クラヴィーア奏者の饗演 *終了しました 第3回『ベートーヴェンとショパン』 大作への野心 *終了しました 第4回 『シューベルトとショパン』 リートと即興曲の先達 *終了しました 第5回 『メンデルスゾーンとショパン』 羨望の俊才へのショパンのまなざし ※終了しました
高橋 多佳子:ピアニスト 1990年第12回ショパン国際ピアノ・コンクールで第5位に入賞し、一躍楽壇に飛び出したピア二スト。ショパン国際コンクールのほか、ポルト国際音楽コンクール第2位および現代音楽最優秀演奏賞、ラジヴィーウ国際ピアノ・コンクール第1位、第22回日本ショパン協会賞など、輝かしい受賞歴を有する。桐朋学園大学卒業、国立ワルシャワ・ショパン音楽院研究科を最優秀で修了。活発な演奏活動を展開し、それは日本とポーランドを拠点にほぼ全ヨーロッパに及ぶ。国立ワルシャワ・フィルをはじめ、国内では、新日本フィル、日本フィル、東京フィル、東響、東京都響、神奈川フィルなどの主要オーケストラと共演を重ね、常に高い評価を得ている。オクタヴィア・レコードを中心に22タイトルのCDをリリースし、《ショパンの旅路》、《ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番&ムソルグスキー:展覧会の絵》、《リサイタル》など、多くが“レコード芸術誌特選盤”となる。2006年には宮谷理香と《デュオ・グレイス》を結成。CD《グレイス》、《ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ&サン=サーンス:動物の謝肉祭》をリリース。2015年には《ショパンの本》(音楽之友社)で高橋多佳子が付随DVDの全演奏を担当し大きな話題となった。2019年には、高関健指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団と共演したCD《ショパン:ピアノ協奏曲第1番》をリリース。2020年には、礒絵里子(ヴァイオリン)、新倉瞳(チェロ)と結成した《椿三重奏団》のCD《メンデルスゾーン&ブラームス》(アールアンフィニ)がリリースされた。世界の著名国際音楽祭への出演や中国での演奏と講演、《青少年ショパン国際コンクール》(ポーランド)や《ラフマニノフ国際コンクール》(ロシア)の審査員としての招聘など、ますます国際的に意欲的な活動を展開して いる。 現在、桐朋学園大学ピアノ科講師。せんがわピアノオーディションプロデューサー。 Facebook:@takakoChopin1990、Twitter:@takako1990
下田 幸二:音楽評論家・ピアニスト 現在、桐朋学園音楽部門、昭和音楽大学附属ピアノアートアカデミー、フェリス女学院大学、相愛大学各講師。日本演奏連盟会員。全日本ピアノ指導者協会正会員。武蔵野音楽大学卒業。ポーランド政府給費生として国立ワルシャワ・ショパン音楽院研究科修了。8年間にわたり、国立J.エルスネル高等音楽学校ピアノ科講師を務める。相馬信子、石黒祥義、L.コズベック、B.ヘッセ=ブコフスカの各氏に師事。J.スリコフスキ、T.シェバノ ワの各氏にも薫陶を受ける。指導者として高い定評があり、多くの優秀なピアニストを輩出。モニューシコ国際ポーランド音楽コンクール、青少年ショパン国際ピアノ・コンクール(以上ポーランド)、せんがわピアノオーディションをはじめとする審査員やセミナー講師を歴任。研究者としては、ショパンやポーランド音楽の専門家として信頼が篤い。現在、「レコード芸術」(音楽之友社)にて 《下田幸二のピアノ名曲解体新書》を好評連載中。著書:「ショパンその正しい演奏法」、(ヤマハミュージックメディア)、「ショパン全曲解説」(ハンナ・日本図書館協会選定図書)、「ショパン-200年の肖像」(共著・求龍堂)ほか。「ピアノの森」音楽監修者。 Facebook:koji.shimoda.927、Twitter:@kojiego