日本の近代史を、もう少し深く知りたいという人は多いと思います。 昭和初期の代表的政治家である浜口雄幸(はまぐちおさち)と昭和陸軍を主導した永田鉄山を取り上げます。この時期は、両大戦間期の激動の時代を背景に、政党政治から陸軍中心の国家総動員態勢へと移り変わっていく時代です。この時代の政党政治によって、議会制民主主義と国際的平和協調という現在の昭和憲法体制の原型が形成されます。しかし、それが陸軍の政治介入によって崩壊に追い込まれ日中戦争・太平洋戦争へと向かっていきます。我々日本人は、激動の時代の中で、そのような民主主義と平和主義をどのように失っていったのか。それを考えていきたいと思います。(講師・記) 10/9 田中内閣の東アジア政策と浜口雄幸 11/13 浜口内閣の成立とロンドン海軍軍縮条約 12/11 国家総力戦の時代における平和維持の問題 1/8 永田鉄山の国家総動員論 2/12 永田の対中国政策と政党政治の否定 3/12 陸軍派閥対立と華北分離工作
川田 稔:名古屋大学名誉教授 高知県生まれ。名古屋大学大学院教授を経て、名古屋大学名誉教授、日本福祉大学名誉教授。専門は政治外交史、政治思想史。著書に『浜口雄幸』、『昭和陸軍の軌跡』(山本七平省受賞)、『石原莞爾の世界戦略構想』、『木戸幸一』、『日本陸軍 七つの転換点』、編著に『近衛文麿と日米開戦』など。